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市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

4.オリンピックと原発 テレビ局との深い関係(著述家 本間 龍)

季刊『社会運動』2020年1月【437号】特集:もうテレビは見ない-メディアの変質とつきあい方

アメリカのテレビのため


─2020年は東京オリンピックが開催されます。マラソンの開催地変更など酷暑対応が遅まきながら行われましたが、そもそもなぜオリンピックが真夏に開催されるのでしょうか。


 テレビ中継料として1000億円単位のお金を国際オリンピック委員会(IOC)に払っているアメリカの3大テレビ局から、夏に開催してほしいという強い要請があるからです。アメリカンフットボールなど人気のあるスポーツコンテンツが暑い夏には開催されず、テレビのスポーツ中継がありません。そこにオリンピック中継を入れて、視聴率を稼ぎたいということです。
 だから、人気が高く視聴率を稼げそうなオリンピック競技はアメリカのゴールデンタイムに合わせて行うなど、アメリカの3大テレビ局の意向が最優先されているのです。開催国の意向は二の次、三の次です。


─開催国である日本でのテレビ放映は、どうなっているのですか。


 NHKと民放全局で作っている「ジャパンコンソーシアム」が窓口となってIOCと交渉しました。今回の放映権は平昌オリンピック(2018年)とセットで約660億円、放映時間が一番長いNHKがそのおよそ半分を支払っています。
 民放はスポンサーとの関係で通常番組を全部潰すわけにいかないですから、マイナースポーツやパラリンピックを含めNHKの放映時間が圧倒的です。とは言っても、近年の放映権はものすごく高騰していて、このまま高騰が続くと日本ではテレビ放映できなくなるのではと言われています。


─いつごろから夏の開催になったのですか。


 商業化に舵を切ったロサンゼルスオリンピック(1984年)から夏の開催になりました。それまで開催した各都市や国はその後、巨額の赤字に悩まされ続けました。このままでは開催する都市がなくなるとして、商業化に踏み切ったのです。商業化とは、①スポンサーを付ける、②プロ選手の参加を認めるということです。当初から、いずれ問題が起きることはわかっていたのです。
 表向きはアスリートファーストだと言っていますけど、こんな酷暑の国で真夏にスポーツすること自体がアスリートファーストではありませんよね。そこに、「一生に一度」だとか、「思い出に残る」「おもてなし」などと、電通が幻想をふりまくわけです。全ては嘘です。結局、オリンピックというのは、壮大な嘘をついて、全世界の人びとを騙して金をむしり取るという構造なのです。


─建設業をはじめ他の業界も、この巨大な利権に群がっているのでしょうね。日本のテレビ局と広告業界は、どうオリンピックとかかわっているのでしょうか。


 オリンピックは規模が大きいから儲けも大きいのです。五輪マークを付けたテレビCMが1〜2年前から放映されていますよね。特番もだんだん増えています。一般的に、特番のスポンサー探しは大変なのです。ところが、オリンピックと名前がついた特番を作れば、スポンサーは電通が連れて来てくれます。テレビ局としても、ある程度の視聴率は見込めるので放映しやすい。だから、オリンピック特番をこれからも増やしていくでしょう。
 日本のテレビ局にとって、数十年に一度の自国開催ですから特需です。こんなにありがたいものはない。2019年10月の時点で、国内のスポンサー企業は63社です。その窓口は電通一社です。おまけに、そのCMを作るのも電通です。
 オリンピックに関する広告宣伝の権利は、電通が独占しているのです。だから、博報堂など他の広告会社は、ほとんど儲かりません。
(P.84~P.85記事抜粋)

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