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市民セクター政策機構

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市民の力で右傾化を止める(法政大学教授・杉田 敦/元参議院議員 大河原 雅子)

季刊『社会運動』 2016年1月号【421号】特集:子ども食堂を作ろう!

急激に進む経済・研究の軍事化

 

大河原 政府が「経済優先」と言い、経団連が「自民党に献金しよう」と声を掛け始めたことでわかるように、ものすごい勢いで軍事のマーケットが広がっています。安保法制が通った途端に、世界的な兵器の展示会がイギリスで開催され、そこには防衛省も、民間の企業も出展しています。

 

杉田 金額はまだ少ないですが、防衛省が防衛関係の基礎技術の研究費を大学などの国内の研究機関に支給するようになりました。これは軍事技術そのものではなく、「将来応用できる基礎技術、例えばロボットなど、それ自体は軍民どちらにも使える技術を研究してください、開発が上手くいきそうなら後は防衛省でやります」と言うのです。科学者はやりやすいですよね。「直接、軍事で使う技術開発には関わらない」という人は多いけれど、そうではないからハードルがぐっと下がります。先ほど言われたように、武器を売るか、その周辺の物や技術を売りたいという意向は強いでしょう。

 

大河原 戦争に敗けて、日本の産業は、民生部門で経済を再興してきました。ところが今は「物作り国家なのになぜ軍事技術の開発ができないんだ」と経済界が賛成して軍事の方面へ行く可能性があるように思えます。

 

杉田 相対的に民生部門の産業だったのが、それが売れなくなってきて、東芝などが「核の軍事利用ではない」という名目で原発建設に向かったけれど、それも駄目になっ
た。あとは軍事しかないと。安保法制ももちろん重大ですが、武器輸出の緩和という、今のこの流れは相当大きいです。

 

大河原 現代の戦争は、戦地に人を送り出すだけでなく、アメリカ本土からの操作で遠く離れた紛争地を爆撃できるように、技術開発で戦争自体が無人化しているため、戦争に対する感度はどんどん鈍くなっています。爆撃されたところでは確実に人が大量に、それも一瞬で死んでいるのに、命が奪われているという感覚が失われている。私は、これは大変なことだと思います。

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