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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

①ポピュリズムとの“みっともない”闘いが、いま必要だと思います。(れいわ新選組・衆議院議員 大石あきこ)

【発売中】季刊『社会運動』2022年7月発行【447号】特集:地方議会を市民の手に! -岐路に立つ地方自治

「身を切る改革」は、壮大な騙し絵

 

―大石さんは以前大阪府の職員を勤められていた時、当時の橋下徹大阪府知事に抗議をし、メディアに大きく取り上げられました。しかし公務員などをターゲットにした維新の「身を切る改革」は、市民からいまでも一定の支持を得ているようです。身を切る改革をはじめ、維新の政策をどのようにご覧になりますか。  まず市民の間には、一部の特権階級や富裕層に対する怒りが高まっていると思います。特権階級のせいで自分たち生活者は大変苦しんでいるのだと。そのような正しい市民の怒りを、公務員という層に向けさせたのが維新です。

 おかしいと思ったのは、私が大阪府の職員だった2008年のことです。橋下府知事が就任後、最初の朝礼で「本当は始業前に朝礼をしたかったが、府庁の職員から超過勤務になると言われてできなかった」「民間では始業前に準備や朝礼をするのが普通。そんなことを言ってくるなら、勤務時間中のたばこや私語も一切認めない」と言ったのです。私は、民間の労働者も府庁もサービス残業で苦しんでいるのを知っていたので、「ちょっと待ってくださいよ。どんだけサービス残業やっていると思ってるんですか!?」と抗議しました。彼の発言により職員と府民を分断しかねないことも許せませんでした。橋下さんに噛みついた女性とマスコミからも随分追いかけられましたね。

 「身を切る改革」をいろいろ分析してわかったのは、これは「壮大な騙し絵である」ということです。彼らは、経団連や経済を牛耳っている層ではなく、平均値を取れば庶民より高収入かもしれない程度の公務員や一部の平民出身の国会議員など斜め45度の層をターゲットにし、公務員がまず身を切って財源をつくるんだという仕掛けをあえてつくりました。結果として公務員も身を切ったのだから市民のみなさんも我慢できるでしょう、と必要な行政サービスへの我慢やコストカット、市民側の予算削減を行った。これが身を切る改革なのです。

 ただ、これは維新が開発した手法というよりは新自由主義の過程でよくあることで、国鉄の民営化改革なども国鉄労働者をターゲットにした騙し絵だったのだろうと思います。東芝の社長・会長、経団連の会長も務めた土光敏夫さんは、質素な食生活で「メザシの土光さん」と呼ばれましたが、マスコミが流す個人的な美談を隠れ蓑に、民営化を断行しました。同じような手法ではないでしょうか。

(P.59-P.60 記事抜粋)

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