生活クラブグループ
市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

③汚染の現実を伝えるために、放射線量を測り続ける
(こつこつ測り隊:生活クラブ生協・茨城 組合員 魚津真喜子さん・吉敷康子さん・山本 新さん)

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福島第一原子力発電所事故で放出された放射能は広範囲に降り注ぎ、土壌を汚染した。健康被害を心配する生活クラブ生協・茨城の組合員たちは、自分たちの住む地域の放射線量の測定を始めた。加えて、知識も得ようと、講演会などで専門家たちから「原子力の基本のき」や「放射線のDNAへの影響」などを学んだ。そして、本格的な測定をする「こつこつ測り隊」の活動を開始。測定した結果は、除染作業の貴重な資料となった。こつこつ測り隊の活動に参加した3人のメンバーに思いを聞いた。

 

自分たちで測定するしかない

 

 福島第一原子力発電所の事故直後から、それまでの日常生活になかった「ベクレル」「マイクロシーベルト」などの用語が飛び交った。当時生活クラブ・茨城の理事だった魚津真喜子さんは、「放射能の影響を受けやすい子どもの健康被害がとても不安でした。食については生活クラブ連合会が行う消費材(生活クラブで扱う商品を消費材と呼んでいる)の放射能検査を頼りに納得して食べることにしました。しかし、暮らしている場所の空間線量など情報を得るためには自分たちで測定するしかないと、2011年9月から生活クラブ・茨城で購入した放射能測定器ラディで測り始めました」と振り返る。11月にさらに精度の高い測定機を購入し、「県央ブロック放射線測定実行委員会」を立ち上げた。同時に、測定値を読み解く知識や活用する方策が必要だと、学習会や講演会も企画した。
 放射線測定実行委員会は、自宅周辺や学校の校庭・通学路などの空間線量の測定を続けた。しかし、自分の周辺の値がそれほど高くないとわかると測定する委員が減り始めた。「ひたちなか市は日本原子力研究開発機構や東海第二発電所などがある東海村の隣です。市内には日本原子力発電や関連会社に勤務する人も多く、原発や放射能をマイナスイメージで語りづらい土地柄なのです」とメンバーは話す。
 それでも測定を続ける必要があると思う人たちが、同じように独自に放射線量を測定していた原子力関連従事者、工学系技術者、高校の生物の教師たちと共に、2013年4月に「こつこつ測り隊」を立ち上げた。

(P.36-37記事抜粋)

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