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04.<中山モダンハウス>みんなでシェアすれば一軒家生活も楽しめる

季刊『社会運動』2017年10月【428号】特集:空き家で街を元気に―困った住宅・店舗の活用方法

 宮城県仙台市青葉区中山で築40年の空き家を、週末のセカンドハウスとして運用しているコピーライターの沼田佐和子さんと設計事務所に務める岩間友希さん。そして彼女たちに、この空き家を紹介し、活動を支えている地元NPOの千葉裕貴さんに、助成を受けずに事業として空き家を活用する経緯と地元に受け入れられるヒントを伺った。

こんなに素敵な一軒家を使わないなんてもったいない

── 週末一軒家プロジェクト「中山モダンハウス(以下モダンハウス)」はどのように生まれたのですか。

沼田 そもそもは市営地下鉄東西線沿線の地域活性を図るフィールドワークがあって、その時に千葉さんにこの家を案内してもらい、この家に一目惚れしたところから始まりました。ハウスメーカーが作らないようなオリジナリティーのある建具に惚れ込んだからです。「週末一軒家」というコンセプトは、住むだけならマンションは便利ですが、庭で野菜を育てたり、花火をしたり、日曜大工をしたり、みんなでパーティーも楽しみたいという人が週末に気軽に来られて、地元の人と一緒に過ごせる一軒家にしよう、ということで生まれました。

岩間 家賃が月6万円と聞いて、「1人2万ずつ出せば、借りられる」という話を沼田さんと、もう1人の仲間であるシナリオライターの根本聡一郎さんとしました。私たちは全員マンション暮らしだからこそ、その便利さと窮屈さもわかっていて、「一軒家がほしいけど、お金はないからシェアしよう」という発想でした。

千葉 こうして空き家を使ってもらって、小遣い程度でも収入になるとまちの人に知られることで、「うちの空き家も有効活用できないか」という気持ちになってほしいんです。若い世代に空き家に住んでもらって、その家賃収入でお年寄りの一人暮らしで生活が大変な人たちも施設に入れるような仕組みを作れないかというのが発端でした。私が理事を務めるNPO法人中山街づくりセンターの活動の一環で、空き家紹介などもやってきたんです。

 モダンハウスを運用するため、岩間さん、沼田さん、根本さんの3人は15万円ずつ出資し、個人事業主の集まりである有限責任事業組合を設立し、組合として不動産オーナーと契約した。シェアハウスとして貸し出している2階の2部屋が一番大きな収入源だ。シェアハウスには現在、男性と子連れの女性が生活しており、入居者はモダンハウスの管理人として、平日のイベントスペースの貸出業務なども行う。他にも、1階の洋間と和室をイベントスペースとして、また庭を家庭菜園用の畑として一般に有料で貸し出している。

(P.90~P.92記事から抜粋)

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