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【国民投票】
国民投票法の重大な欠陥は、広告宣伝がほぼ規制されないこと。
改憲派は豊富な資金を使って大量のテレビCMを流せる。
不平等な制度で実施された投票結果に、正当性はあるのか!?

「巨大広告代理店が影響力を持つ憲法改正国民投票法の問題点(著述家 本間 龍)」

季刊『社会運動』2018年4月【430号】特集:改憲・戦争に反対する12の理由

広告宣伝活動に関する規制がほぼ存在しない国民投票法

 

 2017年の衆院選勝利によって、自民党の安倍首相は改憲への強い意欲をさらに剥き出しにしている。気づいていた人は少ないが、自民党はあの衆院選で初めて改憲を選挙公約に入れた。その大事な選挙で野党第一党の民進党は自ら分解して大敗してしまったのだから、その原因を作った執行部の面々は万死に値する。

 結果的に自民党は大勝し、国会発議の要件である衆参両院での3分の2議席を確保する状況も変わらなかったため、選挙後に安倍首相はさらに憲法改正へのアクセルを踏み込んだ。具体的には、今年(2018年)中または19年初めの国会発議、そして今上天皇が退位する3月末までの国民投票という具体的な日程まで言及している(18年1月現在)。戦後初めて、憲法改正のスケジュールが具体性を伴って姿を現したのだ。

 だが現行の国民投票法には、法律施行時には誰も気づいていなかった重大な欠陥がある。いざ投票運動(通常選挙における選挙運動)が始まると、投票を呼びかける広告宣伝活動に関する規制がほぼ存在しないのだ。これは資金を潤沢に持つ側が、持たない側を圧倒出来るという非常に危険な仕組みである。

 一昨年この欠陥に気づいた私は、17年9月に『メディアに操作される憲法改正国民投票』(岩波ブックレット)を上梓、この問題の拡散周知に努めてきた。最近、護憲派野党の間にもようやく危機感が広がりはじめ、国会でも議論の俎上に載りつつある。今回は紙面を借りて、この問題点を簡潔に解説したい。

(P.24~P.25記事から抜粋)

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