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市民セクター政策機構

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 「ニュース女子」はタイトルに「ニュース」とあるが報道番組ではなく、大学教授、評論家などの男性コメンテーターが若い女性たちに時事ニュースを解説するスタイルで進行する情報バラエティ番組である。「物知りな男はカッコいい! ここは、ニュースを良く知る男性とニュースをもっと良く知りたい女性が集う、大人の社交場」と番組紹介されている。聞き役の「女子」たちは驚いたり、相槌を打つだけ。番組自体が性差別的だ。
 大手化粧品会社・DHCが制作費を出して、子会社のDHCテレビジョン(放送当時はDHCシアター)に作らせたのがこの番組だ。DHCがMXテレビの番組枠を買い取って放送している。つまりスポンサーによる「持ち込み番組」であり、制作のスタイルは通販番組と同じだ。画面からは「ニュース女子」が報道番組ではなく、スポンサーの意を汲んだコマーシャル番組だということは伝わっていないだろう。しかも、首都圏エリアの平日22時の放送だったので、視聴者はかなりの人数になる。歪められた情報を公共性の高い地上波で放送したことの罪は重い。


BPOは重大な放送倫理違反と辛さんへの人権侵害を認定


 放送直後から「沖縄に対する誤解や偏見を煽る」「番組が報じた事実関係が間違っている」など多数の意見が放送倫理・番組向上機構(BPO・注2)に寄せられた。
 BPO放送倫理検証委員会では、独自調査も加えて慎重に審議を進めた。その結果、委員会は2017年12月14日、MXテレビに対して、①基地建設への抗議活動を行う側に対する取材の欠如を問題としなかった②抗議活動に参加する人びとが救急車の通行を妨害した、との放送内容の裏付けを確認しなかった③「日当」という表現の裏付けを確認しなかった④取材VTRにあった、黄色の斜体で強調された「基地の外の」という数カ所のテロップを放置した⑤侮蔑的表現のチェックを怠った⑥すべての編集が終わった完成品での考査を行わなかった、の6点をあげ、適正な考査を行うことなく放送した点で、重大な放送倫理違反があったとする意見書を通知公表した。
 続いて、18年3月8日、BPO放送人権委員会は辛淑玉さんに対する名誉毀損の人権侵害があったと判断し、再発防止に一層の努力を重ねるようMXテレビに勧告した。
 これらの意見や勧告を受け、ようやくMXテレビは「ニュース女子」の放送を3月で終了し、放送から1年7カ月後の7月20日、伊達寛社長が辛さんに面会し直接謝罪した。
 7月31日、辛さんは、制作会社DHCテレビジョンと司会を務めていた長谷川幸洋氏(放送当時、中日・東京新聞論説副主幹)に慰謝料などを求めて東京地裁に提訴。また、いまもインターネットなどで放送が続いているため、番組の差し止めと削除、謝罪広告の掲載を求めている。辛さんは会見で「彼らは笑いながら、事実にもとづかないことで、私と、沖縄でその人生をかけて『戦争が嫌だ』と声を上げている人たちを侮辱しました。デマは社会を壊します。侮辱された沖縄の人たちの、その思いをバトンとして託されて、この裁判に臨みたい」と話した。

注1 2013年に立ち上げられた、ヘイトスピーチとレイシズムに抗う国際ネットワーク。辛淑玉さんは共同代表の一人。https://norikoenet.jp/
注2 放送による事実誤認や人権侵害がなされたとき、監督官庁の総務省が介入するのではなく放送事業者自らが過ちを認め、再発防止を図るため、2003年にNHKと日本民間放送連盟(民放連)によって設立された第三者機関。

(P.93~P.95記事から抜粋)

 

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