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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

幸せ社会のつくり方(関西大学教授 草郷 孝好)

季刊『社会運動』 2015年10月号【420号】特集:あなたが「下流老人」になる日

荒川区が発起人代表となり全国の基礎自治体に呼び掛け幸せリーグが設立

 では、地域生活の現場において、どのような取り組みが参考になるのだろうか。既に、日本には、新たなまちや地域づくりを目指す上で、大いに参考になる取り組みがいくつもある。東京都荒川区は、ブータンのGNHをお手本にしてGAH(グロス・アラカワ・ハッピネス)を掲げ、健康な荒川区づくりを進めてきた。区政のスローガンは、「区政は区民を幸せにするシステムである」とし、幸福度の低い区民を少なくするための行政施策を展開している。また、荒川区は、基礎自治体の中の健康で幸せな地域創りのリーダーとして、2013年6月に「住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合」(通称「幸せリーグ」)を結成、50を超える数の地方自治体が参加した。
 幸せリーグでは、個別の自治体の取り組み事例の共有、住民地域の幸福度指標の開発など、住民の幸せを高められるような地域づくりを目指す活動支援が進められてきている。
 この幸せリーグの設立時からのメンバーであり、独自の考え方にたって、幸せのまち創りに取り組んでいるのが愛知県長久手市である。愛知県長久手市の取り組みは、市民と行政が連携して、日本一住みやすく幸せ度の高いまちづくりを目指す「幸せのモノサシづくり」の活動である。
 市長の吉田一平氏のもと、長久手市は新しい行政の方向性を打ち出した。それは、市民が長久手市の行政をリードしていくという住民主導の行政であり、住民の持つ知識、経験、技能を長久手市の発展のために積極的に活用していくことを目指している。

 

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