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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

7.憲法改正国民投票の現状(シンクタンク「国民投票広報機構」代表 南部義典)

季刊『社会運動』2020年1月【437号】特集:もうテレビは見ない-メディアの変質とつきあい方

─市民はどうしても報道に引きずられてしまい、いますぐにでも自衛隊明記の発議がされるのではないかと不安に思ってしまいます。


 メディアが「安倍改憲」というキーワードでニュースを流すと、賛成派も反対派も過剰反応します。でも実際に、第二次安倍内閣以降、発議されず、議論さえ進んでいないことに憤ったり抗議したりする人を、自民党議員も含めて私は一度も見たことがありません。改憲派と言われる人たちは、どういう認識なのか。本気で取り組んでいるわけではないということでしょう。いわばショーであり、お祭り騒ぎです。意見がバラバラで憲法改正の議論ができない政治的状況なのに、ムードないし空気に悦楽を覚えているだけです。護憲派の人たちも、客観的状況の検証もなく、安倍総理ほか有力議員の発言一つひとつに振り回されるだけで、一緒になってショーに参加してしまっています。
 メディアもこうした状況を正しく伝えず、安倍総理の発言に踊らされています。正しい報道によって、憲法改正の手続きを国民がきちんと理解していれば、すぐに国民投票とはならないことがわかるはずです。原案の起草、国会審議というハードルを超えて初めて発議となり、次のステップへ続くのに、最初の部分にさえ手が付けられていない、実務的には何も進んでいないのですから。


─国民投票法は課題山積で、何も動かない状況だということですね。具体的には何が問題なのでしょうか。


 私はよく「二人三脚」ならぬ「多人多脚走」を例にあげます。足の速い人は一人で走ったほうが満足するので、ああいう競技種目を嫌います。「どうしてこんな脚の遅い奴と一緒に走らなければいけないのか」というわけです。けれど、この種目は一人ではできないので、一番足の遅い人のペースに合わせるしかないのです。憲法改正も同じ構図です。自民党単独ではできません。他の政党と一緒に走り出したとしても、途中で誰かが離脱すればそこで話は終わります。何より、誰もスタートラインに立っていないという現状認識を持つことが大事です。そして、冷静に憲法改正国民投票の公正・公平なルールについて、議論を深めていくべきだと思います。
 憲法改正論議を進め、発議に至らしめることができない、あるいは国民投票を実施することができない問題は三つあります。①「改憲勢力」内の方向性不一致、②憲法審査会の不正常な運営、③国民投票制度上の不備の放置、です。国民投票法制にはこれから決めなければならないことがたくさんあって、とても短時間で解決することはできません。
(P.123~P.124記事抜粋)

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