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安倍政権打倒の方策(フリージャーナリスト 横田 一)

季刊『社会運動』 2016年1月号【421号】特集:子ども食堂を作ろう!

国会審議が始まった頃から「戦争法成立は確実」と予測し、安倍政権打倒の具体策を訴えていた学者がいる。政府案を「違憲」と断じて国会審議の潮目を変えた憲法学者の一人、小林節慶應大学名誉教授のことだ。
 アメリカのハーバード大学に留学して米国で仕事をした経験もある小林教授は、理論だけでなく実践を重んじるのが信条だ。学問の世界で「戦争法は違憲」と指摘して事足りることなく、現実の社会で「違憲状態解消をどう実現するのか」にまで踏み込む。6月の違憲発言以降、講演が頻繁に来るようになった小林教授は現在も〝全国講演行脚中〟だが、そこで必ずと言っていいほど紹介していたのが、「野党選挙協力による護憲連立政権誕生」と「違憲訴訟」の二つの方策だった。これを両輪としながら安倍政権を打倒しようと呼びかけていたのである。
 法案が成立した9月19日、共産党の志位和夫委員長は、国政選挙で全選挙区に候補者を立てる従来の方針を「他の野党と選挙協力で合意できれば調整する」と見直す考えを示し、安倍政権退陣を実現するために野党5党1会派に選挙協力を呼びかけた。しかし小林教授はその2ヶ月以上も前から野党結集の重要性を訴えていた。安倍首相を暴走自動車に例えた上で「今から安倍政権打倒策を考えるべき」と強調していたのだ。
「(安倍首相の)周りには二種類の人間がいて、一つは、あの方と同じような先祖代々の世界観、価値観の人たち。もう一つは、秀才なのだけれども、その貴族集団にゴマすることで出世しようとする政治家・官僚たち。ですから『殿、だいぶ風雲急になってきております。作戦を変えてはいかがでしょうか』とは言えない。言った途端、クビを切られる。ですから暴走自動車は止まりません」、「日本丸という巨大な船の船長が暴走しているのですよ。それなのに周りのクルーが『あんたが大将』と担いでいる。こんな船員集団は追い出さないといけない」(2015年7月11日の講演)
 安倍首相の性格や周辺状況から「強行採決は不可避」とみた小林教授は、その対抗策として「野党選挙協力による政権交代(〝護憲連立政権〟下での戦争法廃止法案成立)」も講演で提唱していた。
「3大野党(民主党、維新の党、共産党)と生活の党、社民党が選挙区をすみ分ければ、政権交代が可能な状態になる」「野党は比例区の直近の票を前提に、(衆院の)小選挙区や参院の選挙区で取る割合・数をまず決める。それぞれの政党で一番戦いやすい選挙区を取る。そこで、党内だけでしか通用しない人ではなくて、周辺からも票が取れそうな超党派で推してもらえそうな人を出す。各党が責任を持って(候補を)出して、その代わり他党は絶対に邪魔しない。これさえすれば、安倍政権なんて吹っ飛ばせる」
 政権交代で〝護憲連立政権〟が誕生すれば、安保関連法廃止法案の提出・成立により、安倍首相が残した負の遺産である戦争法(アメリカへのお土産)を葬り去ることができるのだ。

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