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コロナ禍だからこそ「新しい社会」を構想しよう(『社会運動』編集長 白井和宏)

<好評発売中>季刊『社会運動』2021年1月【441号】特集:コロナ禍の協同組合の価値 -社会的連帯経済への道-

究極の「自己責任社会」が到来

 

 コロナ禍のなか、徹底した自己責任を要請する政権の本質が現れた。「コロナ対策=経済対策=観光事業対策」に矮小化され、「GoToトラベル」だけに固執する。医療・介護現場でさえ検査を拡大せず、医療体制は崩壊。女性や10代若年層の自殺は増加。生活困窮者と路上生活者も増加。それでも政権は、感染が拡大したのは「国民の気の緩みのせい」であり、今後は「神のみぞ知る」と言う。
 他方、マスコミや多くの国民もそれに異議を唱えない。ある調査では「コロナに感染するのは自己責任だと思う」と答えた人の割合は、英国1・5%、米国1・0%に対して日本は11・5%にものぼる。

 

子どもの貧困解決の鍵は親の貧困対策

 

 政府は「新しい行動様式」を提唱し、人びとに「行動変容」を求める。しかしいま、私たちが変えるべきなのは、コロナ禍をはじめとするいかなる社会問題の解決も、個人の責任に帰してしまう、この社会の論理である。
 「日本では子どもの7人に1人が貧困状態にある」ことはマスコミも報道するようになり、子ども食堂は全国で3700カ所以上に広がった。それでも、「子どもの貧困は、親の貧困が原因であり、救済すべきは親である」と考える人はどれほど増えただろうか。国や自治体が生活保護受給者や路上生活者への支援策に本格的に取り組もうとしないのは、結局、「子どもの貧困は本人の責任ではない」けれど、「成人である親の貧困は本人の責任」と多くの人が考えているからではないか。

 

協同組合を中心にした社会的連帯経済への道

 

 子どもの貧困は、食べものの支援だけでは解決しない。その家族に対する生活費、家賃、教育費の支援が必要であり、それは国と自治体の役割である。
 それでもいま、私たちがコロナ禍で苦しむ人びとに手を差し伸べなければ、コロナ後は、もっと自己責任が強化された社会になるだろう。医療・介護従事者に対する支援や待遇改善を行わなければ、今後の超高齢化社会はもっと不安定なものになるだろう。
 そしてコロナ禍のいまだからこそ来るべき「新しい社会」を構想するときだろう。それは地域に密着した協同組合が柱となって、相互扶助・共助・互恵を原理とする「社会的連帯経済」への道である。「協同組合運動は社会的連帯経済の歴史的起源とされる1830年代からずっと、社会的連帯経済を構成する主要な制度的支柱の一つであり続けており、社会的連帯経済の概念の現代的な復興に積極的に取り組んできた」(注)。過去数十年の間にすべての大陸における様々な国で広く普及してきた「社会的連帯経済」を、ようやく日本でも社会に広げるときが来た。

 

注 「国際協同組合同盟(ICA)」理事会(2020年7月22日)が採択した「社会的連帯経済の主要な構成要素の一つとしての協同組合」と題するポジションペーパー(「日本協同組合連携機構(JCA)」による仮訳)より引用。

(p.4-P.5 記事全文)

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