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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

書評①『ボローニャ紀行(井上ひさし著)』
ワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパン(WNJ)代表 藤井恵里

季刊『社会運動』2021年7月【443号】特集:ワーカーズ・コレクティブ―労働者協同組合法を知る

 セリエAのサッカークラブ「ボローニャ」や、西欧諸国で最古の大学「ボローニャ大学」(1088年創立)があり、そしてミートソースの元となったボロネーゼの発祥の地がイタリアの都市ボローニャだ。この本は、そういった知識を得るだけでなく、市民自治や働くことの価値について改めて考えることができる1冊です。
 ボローニャ大学は、学者のもとに集まった学生たちが自治的な組合(ウニヴェルシタス=ユニヴァーシティーの語源)を結成し管理したことから始まりました。他にはイタリアで最初に奴隷解放をした街、近年では世界で最初に同性愛カップルのための宿泊設備を用意したのもこの都市だそうです。先進的なのですね。
 もう一つ、ボローニャが、シリコンならぬパッケージングバレーといわれる所以も興味深い。それは、1924年に設立されたACMAという包装機械メーカー(職人企業)が、技術、ノウハウの持出しをOKにし、これまでに50社もの独立企業をこの土地に生み出したことにあるのです。協働の意識も強い土地だと言うことですね。
 さらに言えば、ボローニャの人たちは、何か思いつくとすぐ社会的協同組合をつくるそうです。
 どうしてやたらに組合をつくろうとするのか。
 イタリア憲法は、「イタリアは労働に基礎を置く民主的共和国である」と謳うと同時に、私的投機を目的としない協同組合の社会的機能を承認し、最も有効な方法によりその増加を促進、助成し、その性格と目的を確保することを保障しています。人びとが共生するための社会的協同組合をどしどしつくりましょう!と憲法で宣言していることが、組合づくりの強力なバックアップになっているのです。
 ボローニャ市民は、自分たちの場所に発生した問題は、社会的協同組合をつくって自分たちの手で解決する。それが「市民の奥の手」だそうです。

(中略)


 最後のページに「社会的協同組合か。日本にはないな」という著者・井上ひさしさんの寂しげなコトバがありますが、労働者協同組合法ができたこと伝えたい!と思いました。

(p.56-P.57 記事抜粋)

 

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