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市民セクター政策機構

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書評②『株式会社の世界史』(平川克美著)
市民セクター政策機構理事 宮崎 徹

<好評発売中>季刊『社会運動』2021年7月【443号】特集:ワーカーズ・コレクティブ―労働者協同組合法を知る

 会社とは、多くの人にとって、改めてそれは何なのか、その由来は?と考えるまでもない、もともとそこにあるものと映っているかもしれない。多くの人は生活の糧を得るために毎日そこに通う。一日の活動的な時間の大半を費やす。
 それは、モノやサービスを生産し流通や分配をすることである。会社はそのような活動の担い手の一つ、ただし、主要な担い手だ。そして、会社の目的は利益を上げることであって、それぞれの活動自体が目的ではないという。しかし、企業活動ではなく、広く事業という観点からは、それぞれの事業こそが達成すべき目標であろう。そして、事業の遂行という視点から考えれば、その方法や形態が会社組織か、組合なのか、NPOかといった選択肢が広がる。
 歴史と現実に鑑みて、事業という人間活動の分野における会社、とりわけ株式会社の存在は圧倒的だ。本書は、経済成長を中心とする近代化を牽引した株式会社のパワーと病理を歴史的かつ原理的に解明しようとした意欲作である。あまりにも当然視されている株式会社を「存在論的に考えてみる」のは、どうやら近代の総体がいよいよ大転換を迫られ、会社も恐竜のように絶滅の危機に瀕するのか、その前にひと暴れして大変なことになるのでは、という予感を著者が抱いているからだ。
 読者は、この株式会社のパワーと病理を見定めることによって、かえってワーカーズ・コレクティブのような社会的企業や非営利事業の意義をより深く認識できるかもしれない。

 

株式会社の肝は、有限責任制だ

 

 世界史の教科書では1602年におけるオランダの東インド会社が株式会社の嚆矢だと教えられる。この会社は、大航海時代にあって、アフリカやアジアから富を収奪するための軍事的、政治的組織という性格を持っていた。だから、軍備の拡張や本来の貿易のリスクの大きさからも絶えず資金の調達が必要であった。

(中略)

 このように本書のテーマは大きく、硬派的なものだが、自らの経営者経験や文明批評の箴言(時にはホリエモンなどの人物批評も)が随所にちりばめられていて面白く読める。話法も巧みで、350ページもあるのに読み疲れない。

(p.70-P.71 記事抜粋)

 

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