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エネルギー政策に全く興味がなかった私を変えた北欧の人たち 鐙<あぶみ> 麻樹:ジャーナリスト・写真家

<まもなく発売>季刊『社会運動』2021年10月発行【444号】特集:再生可能エネルギー――気候危機と生活クラブ

 幸福度調査、生活の質など、さまざまな種類の国際ランキングで北欧諸国は見事にトップ常連国だ。環境・気候対策が進む理由のひとつとして定番なのが「自然にアクセスしやすい」こと。確かにオスロ中央駅から徒歩10分ほどのところではサウナに入ってから、フィヨルドにざぶんと飛び込み、身支度することができる。公共交通機関で30分もすれば森の中だし、首都のど真ん中でも市民が冬にはクロスカントリースキーの道具を抱えて出勤・登校している。この原稿を書いている7月は夏休み真っ最中だが、私は毎日ブルーベリーやラズベリーを大量に食べている。そこらへんに生えているからだ。「自然享受権」という権利があって、自然はみんなのもので、キノコなどは取り放題。
 でも。自然が近くにあって、自然を愛しているという点では日本人も負けてはいない。むしろ昆虫採集をしたり(北欧は寒いのでこの文化がない)、昆虫や動物を祀る墓があったり、森林浴をうみだしたり、いまや世界配信されている宮崎駿監督のアニメ映画は自然破壊というテーマが盛り込まれていたりと、自然を大事にしようという心意気は深い。でも、じゃあ一般市民が普段から環境・気候政策に関心を持ち、国のエネルギー政策の方向性について「自分が関われると思っているか」と聞いたら、きょとんとする人が多いのではないだろうか。
 あなたの考えが首相や環境大臣に届き、選挙での一票が未来のエネルギー政策を変える。あなたの行動が、長期的には何十年も先の子どもの世代に影響を与えると、心の底から思っていますか?
 日本に住んでいた昔の私に聞いたら「ん?」と、考えること自体を止めてしまうかもしれない。
 でも今思うと、エネルギー政策が市民や若い人の間で選挙や政治とリンクされていないのか不思議だ。こんなに夏は猛暑で台風などの自然災害が多い日本なのに。

(p.163-P.164 記事抜粋)

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