生活クラブグループ
市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

Q 地方議員は、全国にどれくらいいるのでしょうか。

 

A 2021年末時点で3万2000人あまりですが、実はこの 年でほぼ半減しています。

 

 いまから20年前の2001年末時点では、全国に6万1000人あまりの地方議員がいました。1999年から始まった「平成の大合併」によって、2021年末時点では3万2000人あまりにまで減少してしまいました。特に市区町村議員の数は、2001年には5万8000人以上だったのが、3万人を切るまでに減少しています。

 市区町村議会議員1人あたりの人口は、20年前だと2200人弱だったものが、現在では4200人とほぼ倍増しています。これは有権者にとって地方議員が縁遠い存在になってしまったことを意味します。  地方議員には、地域の声を行政に伝える役割もありますが、市町村合併によって、議員定数が減ったところでは、そうした役割を果たす力が下がってしまっているのではないかと心配しています。また地方議員に対する親近感の減少とともに、さらに議員定数を削減しようという動きが続いています。同じような人口規模だが議員定数が少ない自治体を参考にしながら、さらに議員定数を減らせると考えるのです。ある意味で削減の悪循環のような事態が現れています。

 

Q 議員数の縮小によって、地方議員の選挙はどのように変化しましたか。

 

A 市町村議会では自分たちの「地域」から議員を出すことが難しくなっています。

 市町村議会選挙と、都道府県議会選挙とでは状況が違っています。大選挙区制の市町村議会選挙の場合は議員定数が減ったため、特に市町村合併によって併合されたり新たに誕生した自治体で当選のハードルが上がり、票集めが難しくなって、自分たちの地域から議員を送り込みにくくなった可能性があります。

 一方、都道府県議会選挙は、一つの選挙区から2人から4人程度を選出する中選挙区か、1人だけを選出する小選挙区が多いので、政党を中心とした選挙になってきます。大阪府は、議員定数が110を超えていましたが、いまは88に減り、さらに79に減らすことになっていて、圧倒的に小選挙区が増えています。その結果、小選挙区では基本的には自民党と大阪で人気の高い大阪維新の会の戦いになってしまっています。定数3の場合には公明党が当選圏に入ってきます。結局、壊滅的にやられてしまったのが、共産党や、立憲民主党などの旧民主党系の議員ですね。小さな政党はさらに議員を送り出すことが非常に難しくなっています。

代理人運動に求められるもの


 そういう改革が進むとすると、これから政党にとって重要になるのは、ある種の看板となるイメージをはっきりさせていくことなのだろうと思います。大阪維新の会はこのあたりが非常に上手で、「身を切る改革」や「都構想」など、とてもわかりやすいイメージを提示して有権者に訴え、大阪で大きく票を伸ばしてきました。

 一方で、旧民主党は立憲民主党や国民民主党に分かれてしまった上に、党籍を持ちながらも政党公認を受けずに選挙を戦った議員もたくさんいます。議会内でも政党名を出さない会派で活動をすることが多いので、地方議会レベルで議員がどんな政策を考えながら活動しているのかが見えにくくなっているように思います。これは生活クラブ生協の代理人運動(注)の今後の活動を考えるにあたっても参考にすべきではないかと思います。

 また、個々の議員自身も、議員を長く続けて議会に慣れ自治体について学ぶことで、専門性を高めて首長と対峙するだけの能力を持てるようになることが必要でしょう。1期や2期、議員を経験しただけでは、自治体の状況について精通したうえで予算書や決算書をチェックをすることも難しいのではないでしょうか。一方で4期、5期と経験を重ねれば、議会運営委員会に所属したり正副議長を歴任するなど議会の流れを左右することもできるようになります。また、そうした議員の発言は、相当な重みをもって受け取られることになるでしょう。

 ともあれ、各政党、会派もしくは議員には、どのような考えをもって議会内で行動しているのか、有権者に伝わるように活動することが、求められているのではないでしょうか。

(注)代理人運動は、1970年代に生活クラブ生協から始まった社会運動であり、生活者・市民の「代理人」として地方議会議員を誕生させてきた。

(P.9-P.10 記事抜粋)

(P.20-P.21 記事抜粋)

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