生活クラブグループ
市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

子育て支援ルポ②
孤立しがちな3歳未満児の子育てに、情報を
(子育て広場 ぶらんこ町田<まちび~んず> ―東京都町田市)

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共通の目的がありながら連携できない民間施設と行政

 

 3歳児未満の6~7割は、家庭で子育てされているといわれる。土谷さんが言うように、核家族化や地域のつながりの希薄化、自分の生まれ育った地域以外での子育ての増加、男性の子育てへのかかわりが少ないことや児童数の減少などで、子育てをする母親が孤立し、子育ての不安感、負担感は増加。子どもにとっても、多様な大人・子どもとの関わりが減り、地域や必要な支援とつながらないことが問題視されている。


 行政も、それを放置しているわけではない。特に町田市は、子育て支援に積極的な市と言われ、ユニセフが提唱する「子どもにやさしいまちづくり」を推進。日本ユニセフから、全国で5カ所しかない実践自治体として承認され、子育てのための施設、支援を整えてきた。2022年度は「(仮称)子どもにやさしいまち条例」づくりに取り組んでいる。

 

 「市内の認可保育園が連携・協力して取り組む『マイ保育園』という制度もあります。保育園に入っていない人でも、『かかりつけ窓口』として保育園に登録しておけば、特定の日に育児相談や子どもの身体測定、イベントなどに参加できるという仕組みです。また、認可保育園は『地域子育て支援拠点』として補助金を受けることもでき、無料の室内開放や園庭解放、無料または安価な一時預かりが可能となっています。

 

 それは素晴らしいことなのですが、私たちのような民間の施設は、いくらしっかり運営していても、行政による子育て支援施設のリストには入れてもらえません。以前から繰り返しお願いしているのですが、いまだ公共施設にチラシの1枚も置かせてもらえない状況です。

 

 利用者のニーズは多様です。もっと気軽に行けるところがいい、自宅の近所がいい、ママ友ができやすいところがいいという人もいる。様々な選択肢があるに越したことはないのです。一時預かりにしても、数百円や無料でやっている行政の施設があるなか、ぶらんこの1時間1200円というのは高いといえますが、高くても利用したい人はいるでしょう。市の認可施設は、かなり前もって予約しなければ利用できなかったり、利用回数の制限があったりするので、緊急時に備えて利用してみたいという人もいる。よく遊びに行く施設で、信頼できるスタッフに預けたいという人もいます。

 

 ですから、ぶらんこのような小さな民間施設がお役に立てるケースもあるはずなのですが、いかんせん、市のリストに載っていないので、積極的に情報収集をする方でなければ、存在さえ知り得ないのです。そのあたり、もう少し行政と連携出来たらと思うのですが……」

(P.21-P.22記事抜粋)

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