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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

①食糧生産地、北海道を汚染する核のゴミ
(生活クラブ生協・北海道 理事 小林恭江さん)

【好評発売中】季刊『社会運動』2023年4月発行【450号】特集:原発ゾンビ ―再稼働なんてありえない

生活クラブ生協・北海道では長年にわたって反原発・脱原発運動に取り組んでいる。1985年、「高レベル放射性廃棄物貯蔵施設」誘致に対し、「食糧生産地北海道と核のゴミは共存できない」と理事会が反対を強く表明。それ以降、次々と立ち現れる原発関連の問題に対し、反対活動を続けている。生活クラブ・北海道の「原発ゼロ・市民エネルギー委員会」と「10万年プロジェクト」の担当理事を務めている小林恭江さんに反・脱原発の道筋とは何かを聞いた。

 

幌延を核ゴミ処分場にしてはならない

 

 幌延は札幌の北280キロメートルにある。そこには、原発の使用済み核燃料を再処理した「高レベル放射性廃棄物」の地層処分実験を行う幌延深地層研究センターが置かれている。小林さんにとって反・脱原発の原体験となったのは、幌延まで約6時間をかけて組合員がバスツアーを組んで訪れる「幌延サマーキャンプ」だ。「私たちは幌延を核ゴミの処分場にしたくないというチラシを一軒一軒配って歩き、地元の人たちの声を聞きました。最初は原発について特別な知識があるわけではなかったので、戸惑うばかりでした。ただ、地元のおばあちゃんが『幌延の水はすごくおいしい。きれいな水なんだ』と話してくれたとき、イヤでもイヤとは言えない人もいて、現地の人の辛さは一様ではないことを肌身で感じました」と小林さんは振り返る。地元で反対運動をしている酪農家たちの「穴を掘って研究すると言っているが、なし崩し的に核ゴミ処分場にされるのではないか」という不安を我がごととして感じた小林さんは「北海道の大地を一緒に守っていかなければ」という気持ちを強くし、現地の人と触れ合う大切さを学んだ。
 幌延訪問は新型コロナ感染症予防のために中止せざるをえなかったが、21年にオンラインで再開。
「幌延がなし崩しに処分場にされないために、反対運動はこれからも続けていかなければなりません」と小林さんは語る。

(P.28-29記事抜粋)

 

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