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熊本で野党統一候補が決定 若者旋風は吹くか(フリージャーナリスト 横田 一)

季刊『社会運動』 2016年4月号【422号】 特集:市民が電気を作る、選ぶ

シールズの目標は、若者世代が投票所に足を運んだ
4年前の大阪市長選の高投票率を、今夏の参院選で再現すること

 三浦氏は、「若い世代の心に響くことを絞って訴えたことが橋下氏の勝因」とも指摘した。具体的政策として「市役所の旧体制を壊す」と繰り返した「公務員改革」と、世代間格差を是正する年金制度の抜本的改革案「積立方式への転換」をあげた。そして4年前の市長選の結果を受けて三浦氏はこう予測した。
「若者優遇政策を訴える政治家は見たことがない。日本の政治は、橋下氏を中心に大阪から動く」
 実際、2012年の政治は大阪から動いた。大阪ダブル選挙2連勝で勢いに乗った橋下氏は、大飯原発再稼働に邁進する野田政権を打倒すると宣言。開講した維新塾で候補者を発掘する一方で、次期総選挙で全国各地で候補者を擁立することも発表、政権奪取の可能性すら取り沙汰された。
 しかし橋下氏はその後、原発推進の石原慎太郎元知事と組んで再稼働反対を口にしなくなり、大阪都構想実現のためであろうが、安倍晋三首相との〈蜜月関係〉を築いていった。若者世代の圧倒的支持を受けた倒閣の急先鋒だった橋下氏は、原発推進で安保法強行の安倍首相の〈下僕〉に成り下がってしまったのだ。
 そして2015年、かつて「再稼働邁進の野田政権打倒」を訴えた橋下氏と入れ替わるように、「違憲の戦争法ゴリ押しの安倍政権を倒そう」と国会前で呼びかけたのがシールズだった。若者世代を代弁する倒閣の急先鋒が、橋下氏から奥田氏らに主役交代したともいえるのだ。と同時に、日本の政治はシールズから動いていった。
 安全保障関連法の廃止を訴える学生団体シールズなど五つの市民団体は2015年12月20日、参院選で野党系候補を支援する「市民連合」(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)を設立した。安保関連法廃止を旗印に、安倍政権に対抗し得る野党勢力の結集を促すのが目的。参院選での野党統一候補擁立を働きかけながら、安保法廃止、立憲主義、脱原発、辺野古新基地建設反対、格差是正など主要政策も提唱する活動を開始した。
 同月の日比谷野音の集会ではシールズのメンバー橋本紅子さんが司会。石田純一さんのゲストスピーチ後、野党国会議員が演説した。シールズの吸引力で幅広い勢力が結集し、野党共闘を後押しした形だ。
 市民連合が2016年1月5日に初の街宣を新宿で行った。〈全国講演行脚〉で安倍政権打倒(護憲連立政権誕生)を呼びかける小林節慶応大学名誉教授がマイクを握った後、野党統一候補擁立に成功した熊本の市民団体のメンバー、瀧本知加さんが「熊本方式を全国に広げて欲しい」と提案。そして維新の党、民主党、共産党の国会議員の挨拶に続いて、シールズの本間信和さんが登場。「2015年9月の安保法強行は忘れていない」と切り出した後、の一人区全勝の目標を口にしながら野党共闘を呼びかけた。
(記事から抜粋 P20~P22)

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