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再生可能エネルギーの電力会社を選ぼう!(パワーシフト・キャンペーン 吉田 明子)

季刊『社会運動』 2016年4月号【422号】 特集:市民が電気を作る、選ぶ

再生可能エネルギーを重視する電力会社とは?

では、「再生可能エネルギーを重視する電力会社」とはどのようなものでしょうか。注目すべきポイントをまとめました。

 

1.電源構成や環境負荷などの情報を一般消費者へ開示していること
 「電力小売営業指針」(2016年1月策定)では、電源構成などの情報開示を「望ましい行為」としていますが、義務ではないので、開示しないところもあるでしょう。しかし、環境影響や電源の種類で電力会社を選びたい消費者にとって、これらが開示されなければ選択の際の情報として不十分です。EU諸国やアメリカでも、法律に基づいて開示・表示が義務化されています。
 今後、電源構成などの開示がきちんと実施されるよう、消費者として引き続き呼びかけていく必要があります。

 

2.再生可能エネルギーの発電設備(固定価格買取制度を含む)からの調達を中心としていること
 ただし現在、各社とも再エネ電源の調達に苦心しています。もともと日本は再生可能エネルギーの割合が低く(2014年に大型水力含めて約12%)、そのほとんどを既存大手電力会社が持っているからです。新規建設や新規調達は、一筋縄ではいきません。
そのため現時点で「再エネ○%以上」と線引きするのは難しい状況ですが、できる限りその割合を高める取り組みを評価、応援していく必要があります。

 

3.原子力発電所や石炭火力発電所からの調達はしないこと(常時バックアップ分は除く)
 石炭火力発電はCO2排出係数の高い発電方法です。一方で気候変動対策もしなければならないため、CO2排出を相殺するために、海外からのCO2排出枠購入や「非化石エネルギー、CO2排出量ゼロ電源」とされる原発の電気で埋め合わせる可能性があります。すでに新電力からも「原発の電気を使いたい」という意見が出ており、要注意です。

 

4.地域や市民による再生可能エネルギー発電設備を重視していること
 大都市に拠点を置く大会社が実施するプロジェクトよりも、地域の自治体や企業、市民などが主体となったプロジェクトのほうが、地域でのお金の循環や雇用創出につながります。市民共同発電など、地域の資源を重視しているところは、より評価できます。

 

5.大手電力会社と資本関係がないこと(子会社や主要株主でない)
 既存の大手電力会社も再エネ中心の子会社を作っていますが、電力の大きな構造を変える観点から、この項目を設けています。

 

 これらの五つのポイントを満たすよう、鋭意準備中の電力会社が、少数ながらも現れています。パワーシフト・キャンペーンでは、そうした電力会社を応援していきます。

 

具体的にどういう電力会社が あるの?

 経済産業省に小売電気事業として申請をした電力会社は、200社以上(申請中を含む)です。電力取引監視等委員会のウェブサイトで、登録事業者のリストを見ることができます。しかし、このリストや会社のウェブサイトの内容だけでは、会社の姿勢や現状など、必ずしも十分に知ることはできません。そこで、キャンペーンは、特に自治体系、生協系、再生可能エネルギー事業を母体とするところなどに注目し、訪問ヒアリングを行っています。キャンペーンの重視する「五つのポイント」にそった方針を相互に確認できたところについて、ウェブサイトで紹介しています。2016年2月現在12社ですが、ほかにも注目しているところは複数あり、今後追加していきます。

(記事から抜粋 P123~125)

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