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市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

ドイツ脱原発の動きは次のステージへ(芸人・記者 おりどりマコ)

季刊『社会運動』 2017年4月号【426号】20年後、子どもたちの貧困問題 格差社会を終わらせよう

 『社会運動』をご覧のみなさま、こんにちは! 今はドイツのゲッティンゲンの放射性

廃棄物処分場についての会議に向かっています。そこに向かう長距離電車のドアの前

の床に座って記事を書いています、席がないんだもん。そしてこういうところに座る

と、決まって地元の人だと思われ、めちゃくちゃ駅や地名を聞かれる! ドイツ語で!

 ムリっす、ごめん! 面白いことに、私は駅を聞かれ、相方ケンパルは、何かしら売

りつけられようとするという…。どこの国でも、私は道を聞かれる側に、ケンパルは騙

される対象になるのはなぜ…。人間の本質は感じ取られるということですね☆なんちて。

 さて、私が今回の会議で与えられた15分の発表の準備は終わったので、今回のドイツ

のダイジェストをご報告! 2014年から、毎年2月、3月にドイツの様々な国際会議に呼

んでいただいています。今年は国際会議はないんだけど、毎年招聘してくださるドイ

ツのヘッセン州(フランクフルトのあるところ)のプロテスタントのエキュメニカルセ

ンターが「今年もおいで~」と招いてくださって。そして恒例のハードスケジュール

の取材と講演会を詰め込んでくださいました(笑)。そこの教会の平和教育の部門と、

異文化交流の部門の牧師さんが呼んでくださって「原発事故のことをドイツの学生に

伝えてほしい、それはとても勉強になるから」とおっしゃるのだけど、毎年、私たち

がとても勉強になります。

 また、ドイツの脱原発の市民団体のアクションを取材するたび、衝撃があります。だっ

て、ドイツはもう脱原発を政策として決めているでしょ? 今、何をしていると思う?

 「予定より早く、原発を全て止められるはずだ!」「放射性廃棄物の処理・処分場も市

民にきちんと監視させろ!」そしてそして! 「隣の国の原発も止めろ!」おおう…ドイ

ツは脱原発を決めたから、もう下火になってるかと思った…。

 ドイツでは、チェルノブイリ原発事故の前から、脱原発運動があって。その頃から活

動している方にもお話を伺いました。

 ─なんで、事故の前から脱原発運動が盛んだったんですか?

「われわれは、このような技術は初めから信用していなかった。なぜなら、情報開示

が行われず、良いことしか説明されない技術は、信用できないからだ」(おおう、かっ

こいい…)

 ─ドイツでは原発に限らず、市民運動が盛んですよね?

「『闘う者は負けるかもしれないが、闘わぬ者はすでに負けている』これはブレヒト

の言葉。ドイツの市民運動はこの言葉を心に抱いている者が多い。あきらめるという

ことを、私たちは恐れている」

 このかっちょいい回答を聞いたとき、なんかわかる!と思いました。自分があきらめる、

ということは、自分が社会を、世界を、人生をあきらめることと同じ意味で、私があ

きらめないかぎり、私の他にもあきらめない方が世の中にいる、ということを信じら

れるのです。なので、私は自分があきらめる、ということを一番恐れているので、お

んなじ!と感じました。

 

(P.146~P148 記事から抜粋)

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