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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

3.空き家問題の解決は所有者の「悩み・願いの開示」から(松村拓也 起業支援活動家)

季刊『社会運動』2017年10月【428号】特集:空き家で街を元気に―困った住宅・店舗の活用方法

笑恵館で行っている非営利不動産事業

 私は、東京都世田谷区の砧というまちで、「笑恵館」というコミュニティハウスの運営に携わっています。そこは、田名夢子さんという現在69歳の女性が所有する約120坪の敷地に建つ自宅と、その隣のアパートを改修した施設で、7部屋の住居スペースとレンタルスペース、食堂とパン屋から構成されています。
 笑恵館で行っていることは、第一に施設を開放すること。誰もがパン屋に寄ったり、食堂をカフェのように使ったりできるよう、この施設を運営していく仕事です。第二に「笑恵館クラブ」という会員制クラブの運営。500円の年会費を払って会員になれば、食堂やレンタルスペースを使うことができ、この場所を使ってビジネスもできます。そして第三に起業支援。会員がそれぞれやりたいビジネスを自由に気軽に始めることができるようにお手伝いしています。起業といっても大それたものではありません。ここで開かれる教室やイベントだってビジネスだし、すべてのチャレンジが起業だと考えています。
 そして、これらの事業のために、すべての不動産収益を投入するわけですが、私はこれを「非営利不動産経営」と呼んでいます。私は、土地はいまでこそすっかり「換金できる資産」になっているが、本来は「利用できる資源」だと考えています。土地が空き家のように放置されるのは、いつか換金できる資産だからであって、それを資源と見るならば、放置しておくのは無駄以外のなにものでもないと思います。
 土地を所有するということは、売らないことを意味します。だから私は「土地を資源としてその活用だけを考えよう」と、所有者に説きたいと思っています。土地が使うためのモノならば、収益は土地を使うことから得るべきです。土地が稼いだお金は所有者の利益にせず、土地を資源として使い続けるために使うという意味で「非営利」の「不動産経営」ということになります。
 この非営利不動産は、今回のテーマである空き家問題に深くかかわってきます。空き家に対する私の考えとともに、具体的な事業内容を紹介します。

(P.48~P.49記事から抜粋)

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