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市民セクター政策機構

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01:服への「思い」を添えて交換するお金以外の価値に気づくしかけ (xChange)

季刊『社会運動』2019年1月【433号】特集:0円生活を楽しむ―シェアする社会

xChangeは単なる物々交換を超えたコミュニティ

 

 初秋のある休日、レストランの一角で開催されていたxChangeに行ってみると、ちょうどその時期から着られそうな長袖のカットソーや、薄手のセーター、カーディガンなどがテーブルにディスプレイされていた。限られたスペースでの開催だったため、必ずしも試着の必要がなく、持ち帰りやすい「夏秋のトップス」をテーマにしたという(通常はテーマを設けないことが多い)。11時スタートの段階で50アイテムほどがきれいに並べられ、その後は夕方まで、たくさんの人が入れ替わり立ち替わり訪れ、持参した服を並べたり、目についたアイテムを広げて吟味したりして、気に入ったアイテムがあれば持ち帰った。ある人が服を並べたそばから、「それ素敵ですね」と他の人が手に取り、会話が弾む様子は、まさに「服としあわせのシェア」だ。
 実際、xChangeの参加者の中で、もっとも満足度が高い人は、「自分好みの服を手に入れた人」ではなく、先の開催時に見られたように、自分の出した服が「他の人に持って帰ってもらえる瞬間に出会った人」なのだという。ここも普通のショッピングとは違うところだ。
 xChangeの最大の特徴は、交換するアイテム一つひとつに、その服の思い出や扱い方、次に着る人へのメッセージなどを書いた「エピソードタグ」をつけることにある。
「贈与による喜びと、エピソードタグを通して思いを交換できたことの満足感。それを体験した人は、次回のイベントに持ちこむ服のクオリティが明らかに上がるんですよ。ブランド物を持ってくるとかいうことではなく、その服に対する思いのクオリティが上がる。だからエピソードタグが充実する。『語れるもの』を持ってくるんです。そういった意味も含めてxChangeは、単なる物々交換の場ではなく、コミュニティなんですよね。服というものを介してコミュニケーションを取っていくことに、大きな価値があるんじゃないかと思います」

(P.66~P.68記事抜粋)

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