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03:発達障がいといわれる子どもへの投薬について考える (小児科医・児童精神神経科医 石川憲彦)

季刊『社会運動』2019年7月【435号】特集:医薬品の裏側 クスリの飲み方を考える

子どもたちに向けられる「早期発見」のまなざしと薬

 

<─石川さんのクリニックでは、発達障がいの子どもについて、小学校からの相談もあると聞きました。どのような経緯で相談が来るのでしょうか。

 

 以前は、小学校の学級担任や、養護教諭などから話が出たものですが、10年くらい前から、教員ではなくPTA経由での相談が増えています。弁護士や会社の社長など、社会的に高い地位にある保護者がPTAでも力を持っていることがあるようです。彼らがクラスの中で「早期発見」をすることがあります。何か少しでも変わった行動があると、その子は「異常がある」として発達障がいの疑いがかけられてしまうのです。

 

─本人やその保護者が困っていなくても、受診をすすめられてしまうのですね。まるで教室から「困った子」を追い出そうとしているようです。


 いえ、彼らは決して追い出すとは言わないのですよ。しかしお節介なことに、「早く支援した方がその子のため」として、精神科などを受診するよう、すすめるのです。そして、「病院に行ってちゃんとお薬を飲んでいらっしゃい」と言います。そういった努力をしたのなら、つまり薬を飲んでいるのなら、(その子が)クラスにいても仕方がないね、というわけです。

 

─一般的には、発達障がいの子どもに対して、どのような薬が使われているのですか。

 

 脳機能を変える薬です。例えば、教室の中で動きまわってしまうとか、落ち着きがないということで、AD/HD(注意欠陥・多動)と診断された場合は、「リタリン」という薬がよく使われていました。依存性の強い覚醒剤で、現在はAD/HDでの使用は禁止されました。この薬の一般名は「メチルフェニデート」といい、最近は徐放性製剤(「コンサータ」)(注)が開発され依存性は低下しました。しかし、6歳未満への安全性は未確認です。

(P.83~P.84記事抜粋)

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