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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

1.地球の気候変動、何がどうしてそうなるの?(気象業務支援センター 研究推進部 鬼頭昭雄)

季刊『社会運動』2020年7月【439号】特集:いまなら間に合う!気候危機

温暖化の影響で地球の気象や気候はどう変わる?

世界の気温上昇と熱波


 このままのペースで温室効果ガスの排出が続けば、世界平均の地上気温は21世紀を通して上昇し続けると予想されます。特に、北極域での気温の上昇は世界平均よりもかなり高くなります。なぜなら現在、太陽光を反射する雪や氷に覆われている地域では、気温が上がるほど雪氷面積が減り、太陽光をより吸収することで気温上昇が加速するからです。また、世界の平均気温が上昇するにつれて、極端な高温現象が増えることも確実です。ヨーロッパ、アジア、オーストラリアでは、すでに熱波の頻度が増えていますね。熱波とは、「広い範囲に4?5日またはそれ以上にわたって、相当に顕著な高温(平均値がもっとも高い時期において『かなり高い』気温)をもたらす現象」のことです。

─「夏が異常に暑くなっている」ということですね。確かに、このところ夏になると「不要不急の外出は避けましょう」といわれる猛暑日が増えている気がします。35℃以上という気温にも、驚かなくなってきました。

 2003年の欧州熱波では、高齢者を中心に約4万人の死者が出たといわれます。今後、熱波の増加は世界的に起こり、その頻度は、今世紀半ばには2?3倍に増えると予測されています。世界の気温を温度計で直接測定できるようになったのは、19世紀後半からですが、2015年以降、ホモ・サピエンスが経験するもっとも高温な年が続いているといえます。

大雨と干ばつ


 もともと世界には、1年を通して雨がほとんど降らないところもあれば、たくさん降るところもありますよね。地理的な違いがあり、季節的な違いもあります。それでも人間は、それぞれの地に適応して暮らしてきたわけですが、温暖化により状況が変わってきました。それぞれ、より極端な気象になって、いままでのインフラ、防災設備では追い付かなくなってきています。

(P.16~P.17記事抜粋)

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