11.各地の生活クラブから③「人格なき社団」にも持続化給付金を(西東京・ワーカーズまちの縁がわ「木・木(もく・もく)」
季刊『社会運動』2020年10月【440号】特集:コロナ下におけるマイノリティ -子ども、生活困窮者、障がい者、外国人-
「人格なき社団」にも持続化給付金を
新型コロナ感染拡大で「子ども食堂 木・々」はお弁当のテイクアウトに。全国一斉休校のために給食がなくなった3月下旬から6月8日までは、希望する子どもたちにお弁当を無料で配った(30日間・累計222個)。食材や費用は、生活クラブ生協の組合員や地域の人びとのカンパで賄った。しかし、子ども食堂の会場である「コミュニティレストラン 木・々」はイベントができなくなり、ランチのお客も減り、収入は激減した。 「木・々」は人格なき社団(みなし法人)として法人税を払っているので、中小法人と個人事業主を対象とする持続化給付金を受けようと、インターネット申請を試みた。しかし、「対象外」で受け付けられない。その理由がはっきりしないので、自分たちで調べたり商工会に相談した結果、①法人として申し込むには、法人番号が必要(納税者番号ではダメ)、②個人事業主として申し込むには12月締めの決算書が必要で、みなし法人として3月で事業の決算をしている「木・々」は受け付けられないことがわかった。 そこで、同様にみなし法人で事業をしているワーカーズ・コレクティブとワーカーズ・コレクティブ ネットワーク ジャパン(WNJ、ワーカーズ・コレクティブの全国組織)(注)は、大河原まさこ衆議院議員(立憲民主党)の橋渡しで中小企業庁と面談。担当者は人格なき社団を除外する理由を、「団地の自治会、オレオレ詐欺グループなどとの線引きが難しい」などと語った。その頃は、持続化給付金をめぐる税金の中抜き問題が騒がれていたので、私は余計に政府のお金の使い方に腹が立ち、この体験を朝日新聞に投書した。やっと投書欄に掲載されたところ、今度はテレビ朝日から取材が入り、「羽鳥慎一モーニングショー」で放送された。持続化給付金の問題点がわかりやすく視聴者に伝わったと思う。放送の翌日、見知らぬ方から便せんに「頑張れ」と一言だけ書かれたメッセージと共に、20万円の寄付が届いた。地域からも「『木・々』がなくなると困る」などと多くのカンパが寄せられた。しかし8月末現在、持続化給付金は支給されていない。ワーカーズ・コレクティブという働き方が認知されていないことを痛感した。 そんなこんながあったが、西東京市の「子ども家庭支援センター」から紹介された家庭へお弁当を届けられたし、近くの小学校の先生が様子を見に来てくれ、子ども食堂を超える新たなつながりができた。地域に密着した居場所を中心に、人と人のつながりが見え、みんなが安心して暮らせる地域をつくりたい。 注 ワーカーズ・コレクティブとは、地域社会で必要とされるサービスを市民自らが人・モノ・お金を出し合って事業を行う非営利の団体。各団体は企業組合、NPO法人、一般社団などの法人格を持つほか、約4割は人格なき社団で事業を行う。6月10日にWNJとワーカーズ・コレクティブの連名で「持続化給付金申請対象拡大に関する要望書」を内閣総理大臣と経済産業大臣宛に提出した。
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