13.各地の生活クラブから④NPOの困窮を調査し、県に支援を訴え(ちば市民活動・市民事業サポートクラブ)
季刊『社会運動』2020年10月【440号】特集:コロナ下におけるマイノリティ -子ども、生活困窮者、障がい者、外国人-
NPOの困窮を調査し、県に支援を訴え
4月7日に出された「緊急事態宣言」後、活動の中止や縮小を余儀なくされ困窮する団体や、活動を継続しつつも感染拡大予防のための負担が大きくなっている福祉関係の団体の声が、千葉市民活動・市民事業サポートクラブ(通称・NPOクラブ)に届いた。全国各地でも同じ問題が起きていたことから、各地の17のNPOセンターが連携して、NPOの窮状を把握して行政に訴えることを目的にアンケート調査を行った。各NPOセンターは調査結果を内閣府や県、自治体に送付した。施策に反映した自治体もあったが、千葉県では「承りました」と言われただけで終わってしまった。アンケートや要望書の内容に具体性が乏しかったことも、あまり成果がでなかった理由だと考えている。
そこでNPOクラブでは5月に再度アンケート調査を行い、千葉県に要望書を出し直すことにした。緊急事態宣言から1カ月以上たち、活動自粛により収入が途絶えて困窮したり、存続が危ぶまれるNPOが増えていたからだ。
千葉県内の130団体から回答が寄せられ、以下のことが判った。①回答団体の89%が活動に影響を受け、68%が減収となっている。②「減収割合が50%以上」となった団体は46%。収入が大幅に減少している団体は多い。③資金面での苦労として、32%がスタッフの人件費、15%が家賃の確保をあげている。④活動自粛により50%以上の団体が活動を縮小し、存続が危うい状況になっている。
この結果をもって議員に働きかけて、千葉県に要望書を再提出した。「国の持続化給付金はNPO法人も対象にしている。売上が大きく減少した中小企業を支援する『千葉県中小企業再建支援金』の対象からNPOを除外することは、市民の暮らしをより困窮させることになる」と訴えた。
そして6月16日、千葉県は支援金の対象の拡充を発表。NPO法人や医療法人、社会福祉法人、組合(企業組合、農協、漁協等、中小企業信用保険法に定めのあるもの)、一般社団(財団)法人、公益社団(財団)法人も対象になった。また支給要件の緩和により、2020年1?3月に設立された中小企業等も支給対象となった。
6月6日、NPOクラブは20回目の総会をオンライン参加者を交えて行った。人と人が集うことを基本に活動してきたNPOにとって、新型コロナによって活動形態の転換が求められている。アイディアを出し合い、工夫を重ねて、「新しい活動様式」を創ることに注力しつつ、市民が主体となる地域づくりの実現のために、役割を果たしていきたい。
(p.106-P.107 記事抜粋)