15.各地の生活クラブから⑤「社協とコラボ」でフードパントリー(生活クラブ生協・埼玉 飯能支部)
季刊『社会運動』2020年10月【440号】特集:コロナ下におけるマイノリティ -子ども、生活困窮者、障がい者、外国人-
「社協とコラボ」でフードパントリー
生活クラブ生協飯能支部の活動拠点である「クラブルーム うちの茶の間」ができた2009年以降、ここを会場にして、飯能エリアの生活クラブ、ワーカーズ・コレクティブと、市民団体、福祉事業所、社会福祉協議会(社協)との間で福祉の連携をつくる情報交換「飯能地域協議会」の開催と相互交流を続けている。そして、この飯能地域協議会での信頼関係が今回の社協とのフードパントリーに結びついた。
2017年、「子ども食堂と学習支援をやりたい」という組合員の声が、生活クラブの飯能支部大会で承認された。「子どもが1人でも食べに来られる食堂、誰でも来られる開かれた場に」というコンセプトで、「うちの茶の間」を会場にして「はんのう・みんな食堂」が17年4月にオープン。生活クラブ生協からの助成で厨房を改造し、オープン後は近隣の人たちからたくさん野菜を提供されている。18年からは「生活クラブフードバンク」(生活クラブの物流拠点で発生する在庫品などを生かしたフードバンク)からも食材の提供を受けている。
そうして奮闘を続けていたものの、新型コロナ感染拡大を防ぐために20年2月から「みんな食堂」を中止せざるをえなくなった。「みんな食堂」に参加する人たちの住所や電話番号を聞いていなかったので連絡もとれず、それまで来ていた子どもたちへの支援活動すらできなかった。
何とかしたいと思っていた折、「フードパントリー(食品無料配布)」の存在を知った組合員が、自分たちにもできないかと模索を始めた。そして、地域協議会で信頼関係ができていた社協に「生活クラブフードバンクからの提供品を社協に相談に来る人たちに無料配布できないか」と持ち掛けてみた。すると社協からは、飯能支部と飯能市社協との共催で行いたいと提案された。こうして5月から「食材のおすそわけ(フードパントリー)」が始まった。
配布対象は、飯能市内在住で、経済的に困窮している世帯(所得制限なし)。2~3週間前から申し込みを開始し、最終金曜日に市の総合福祉センターで食品を渡す。一世帯は1回につき、世帯人数×3袋(ただし1世帯15袋が上限、なくなり次第終了)。毎回7~8世帯に渡している。
今回の新型コロナは、いつ落ち着くのか先が見えないが、「みんな食堂」が再開できるようになったらフードパントリーは一区切りとなりそうだ。でも、そのときには今回のパントリーでつながった方々にも参加してほしいと考えている。
(p.122-P.123 記事全文)