さんさんこども食堂(さんさんこども食堂実行委員会)
子ども食堂のネットワークをつくろう
二回目を終えて、「さんさんこども食堂は地域交流の場だと思った」と光岡さんは言う。「これを始めたことで子どもの孤食が少しでもなくなったらいいし、近所に知り合いの人がいるという安心感が生まれます。普段全く接点のない、忙しく働く若い人たちと地元のおじさんやおばさんがお互いに知り合う場ができて、地域がつながる手応えを感じます」と、意義を評価する。
一方で、「このような個人宅で開く子ども食堂では、食事や調理のスペースにも限界があり、告知も届きにくい。子どもが一人でふらっと立ち寄ることもあまり期待できない」とも。当初の課題だった貧困状態にある子どもを支える活動のためには、世田谷区や世田谷区社会福祉協議会との連携が次のステップだと話す。
光岡さんの構想は、区内に23ヶ所ある世田谷区社会福祉協議会の「ふれあいの家」(注2)を会場にした子ども食堂の展開だ。公的な場所での活動ならインフォメーションもしやすく、いろいろな子どもたちが気軽に参加でき、サポートする側も気兼ねなく会場を使えるので好都合。子ども食堂の実行委員会には世田谷区内各地で活動する500人以上のメンバーがいる団体もある。そんな地域の人たちが参加して子ども食堂を各地に作り、ゆくゆくは区の制度にしていきたいという。現在、世田谷区は高齢者のサロンやミニデイを支援しており、同じような活動になれば、場所・人・運営資金が確保され、個人の力に負わない、地域活動として継続していけると考えているのだ。
世田谷区では、さんさんこども食堂以外にもいくつかのグループが子ども食堂を始めようとしている。光岡さんは「地域の活動の積み重ねが行政を動かす力になる」と、子ども食堂のネットワークを作ろうと動き始めている。