3.反貧困の拠点は人・モノ・情報が集う場(反貧困ささえあい千葉)
緊急事態宣言で「反貧困ささえあい千葉」が発足
昨年4月12日の深夜、大野さんの携帯が鳴った。反貧困ネットワーク事務局長の瀬戸大作さんからだ。「コロナ緊急事態宣言で、千葉県知事は翌13日に、ネットカフェや漫画喫茶などに休業要請を出すと発表した。何の対策も補償もない。東京ではすでに支援団体が緊急宿泊所の確保に動いているのに、千葉は何をやっているんだ」と、電話口から大きな声。
大野さんはすぐに、市民ネットワーク(注1)で一緒に活動する千葉県議の伊藤壽子さん、沖縄問題の活動仲間である阪上武さんに連絡を取り、徹夜で『緊急事態宣言にもとづく休業要請に際して「住まいの貧困」への対応を求める緊急要請書』と、賛同を求める呼びかけ文を作成。さらに未明から午前中にかけて、知り合いや団体に片っ端からメールや電話をかけまくり、賛同団体を募った。半日で10団体の賛同を得て、13日の午後2時半に県庁に集まり要請書を提出。同時に記者会見も行うという目まぐるしい1日だった。幸い県もすぐ動き、市原市の消防学校に当面の緊急宿泊所が設置された。
数日後、再び瀬戸さんからの電話。「コロナで仕事を失い車上生活をしている人が、I市の道の駅からSOSを送ってきた。所持金が150円だ」と言う。大雨の中、伊藤さんと車を飛ばし、瀬戸さんと合流し、I市で困窮者支援をしている「ガンバの会」につないだ。
緊急宿泊所に手作りマスクを届けようと話し合ううち、今後はいろいろなケースが出てくるだろう、やっぱり個々人に対応する相談会が必要だということになった。JR東船橋駅近くの市民ネットワーク・ふなばしの事務所を拠点に、4月25日、「反貧困ささえあい千葉」(以下、ささえあい千葉)を立ち上げ、県内での新たな困窮者支援を始めた。
注1 生活クラブ生協を母体に石けん運動や環境問題などに取り組んだ女性 たちが、行政に市民の声を反映させようと、議会に議員を送り出す代理 人(議員)運動を始めた。千葉県では1986年の野田市議選を皮切り に、各地に派生したローカルパーティー(地域政党)。
(p.41-P.42 記事抜粋)