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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

4.介護の現場から制度を見直す(アビリティクラブたすけあい)

季刊『社会運動』2021年4月【442号】特集:自助・共助・公助と生活クラブ

「介護の崩壊をさせない実行委員会」ができるまで

 

─まず、アビリティクラブたすけあい(ACT)について教えていただけますか。

 

 1992年に発足したACT(アクト)は、生活クラブ生協・東京のたすけあいをすすめる活動(共済制度)から発展し、2000年に特定非営利活動法人となりました。発足当初から、地域でのたすけあい活動をすすめています。現在、ACT運動グループとして、都内には34のたすけあいワーカーズで構成されている「ACTたすけあいワーカーズ・コレクティブ連合」が子育て支援、介護、障がい者支援などの事業・活動を展開しているほか、居宅介護支援事業所「人とまちづくり」(ケアマネジャーによる在宅介護支援)6カ所、だれでも行ける居場所「NPO法人ACT・ワーカーズ・まちの縁がわ」15カ所が、それぞれのワーカーズ・コレクティブ(ワーカーズ)によって運営されています。ACTは、このような地域のたすけあい事業を担うワーカーズの立ち上げの支援をしています。2000年の介護保険制度開始後は、介護事業を行うほとんどのワーカーズがNPO法人を取得し制度に参入しました。同時に、従来から行っている介護保険制度に入らない自立援助サービス「ACTつながるケア」も継続しています。

 

─介護の崩壊をさせない実行委員会はどのようにつくられたのでしょうか。

 

 2015年4月の介護保険制度の改定により、比較的介護の必要度が軽いとされる「要支援1・2」が介護給付ではなく市区町村による「総合事業」(注1)へ移行されました。その後すぐに、「要介護1・2」の生活援助(入浴、排せつ、食事などの身体介護ではなく、調理、洗濯、掃除など)を介護保険の対象から外すことが検討されたことから、これまでどおりの介護保険給付を行うことを求める署名活動を始め、2016年8月に厚労省に提出しました。署名を出すときには院内集会も行いました。厚労省からは2人の職員が出席しましたが、質疑もなく「はい、承りました」と、ただ受け取っただけでした。
 まず、介護保険制度の給付が削られていく状況を多くの人と共有しようと、ACTが発信して賛同団体を募り、他の団体とも連携して「介護の日フォーラム実行委員会」を結成しました。介護現場からだけでなく、生活者ネットワークなどの政治団体も参加して、それぞれの人がそれぞれの立場で入手した情報や課題を持ちより、会議を重ね、2016年11月11日に第1回の「介護の日フォーラム」を開催。以来、毎年フォーラムを開催してきました。そして介護保険制度が始まって20年になる2020年初めに、介護の社会化が後退していく現状をふまえて「介護の崩壊をさせない実行委員会」としました。

 

注1 介護保険制度で自治体が実施する「介護予防・日常生活支援総合事業」。要介護認定を受けた人以外にも利用できることや、介護サービス事業者だけでなくボランティアなど地域の様々な団体が参入できるなど、地域の実情に応じて多様なサービスが提供できるとされる。一方で、給付ではないので自治体により予算の上限が決まっておりサービスの量・質に格差が生じる、介護の専門職でない人や事業者が参入するのでサービスの質・安全に不安の声がある、自治体が独自に報酬額を設定するので報酬単価が低く抑えられる恐れがあるなども指摘される。

(p.53-P.55 記事抜粋)

 

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