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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

エネルギー問題の押さえておきたい基本(認定NPO法人気候ネットワーク理事 平田仁子)

季刊『社会運動』2021年10月発行【444号】特集:再生可能エネルギー――気候危機と生活クラブ

Q
「2030年石炭火力ゼロ」「2050年再生可能エネルギー
100パーセント」へ向かうなかで、私たちができることは?

 

A
 個人レベルの省エネから、社会が大きく動くことにつながる行動へ


 個人の話になると「まずは省エネ、節電」という話になりがちです。全否定はしませんが、私はあえて「それ、いったん見直しませんか」と言いたいです。大きな社会システムなりエネルギーシステムを容認したまま個人レベルの省エネを続けるということは、現状のエネルギー構造を支持し、問題の解決を阻むことにつながるからです。
 いまは、大きな転換に向かって一歩踏み出すときです。私たちが選ぶべきは、家計が苦しいのに無理して太陽光発電機器を設置するとか、生活に必要な車を手放すといった、無理や我慢をともなうアクションではなく、楽しくできることで、かつエネルギー構造の転換に刺さるようなアクションです。
 例えば、生活クラブ生協の組合員さんなら、㈱生活クラブエナジー(41ページ参照)への電気の切り替えは、大きなアクションになると思います。電力が選べるようになったということは、私たちがエネルギー産業の根っこを変える力を手にし、その力を行使できるということですから。
 また、自治会や、地域のサークル活動、子どもの学校、会社、ボランティア活動など、私たちはいろいろな社会のアクターとつながっているので、それぞれの場でエネルギー問題を語り、そこで起こせる変化に関わっていくのも大事なことです。
 これからは、新型コロナからの回復を含め、誰もが安心して暮らしていける社会を目指していく様々な行動のなかに、脱炭素の要素をビルトインすることに挑戦するということです。
 足元で変化を起こすことが難しいと思える場合でも、そこでブレーキをかけず、どうやってその壁を乗り越えて、地域や会社を変えていけるのかをぜひ考えてみてください。私たちにできることはたくさんあります。国や他人に任せるのではなく、一人ひとりが仲間を増やし、手を取り合って考えていきましょう。

 

●気候ネットワーク 地球温暖化防止のために市民の立場から「提案×発信×行動」するNGO/NPO。地球温暖化防止に関わる専門的な政策提言、情報発信とあわせて地域単位での地球温暖化対策モデルづくり、人材の養成・教育等に取り組んでいる。https://www.kikonet.org

(p.15-P.16 記事抜粋)

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