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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

 2021年10月31日、衆議院選挙が終わった。「政権選択選挙」と呼ばれたが、野党共闘は議席を減らし、投票率も戦後3番目の低さだった。それ以上に残念だったのは、多くの協同組合が沈黙していたことである。
「(個人と国家の間にある)中間団体は民主主義が正常に機能する上で大きな役割を果たします。さまざまな団体が持ち寄った利害を調整するのが『健全な政治』です(注)」と國分功一郎氏(東京工業大学教授)は語る。しかしこの国では「さまざまな団体」の利害がすべて政権与党に吸収されている。
医師会、労働界も政権与党を支持
かねてより日本政治の問題として、政界・官界・財界の強力な癒着構造が指摘されてきた。さらに今回は、原発推進派の電力系労組を抱える日本労働組合総連合会(連合)の芳野友子会長が、「共産の閣外協力はあり得ない」と野党共闘をけん制(2021年10月7日)。日本医師会の中川俊男会長は、政府のコロナ対策に批判的だったはずだが、すでに2020年時点で「選挙の時には自民党をしっかり支援する」と明言していた(2020年7月1日)。こうした中間団体は、億単位の政治献金を行い、既得権益を守り続けている。
ところがなぜか生協法には「組合は、これを特定の政党のために利用してはならない」という規制があるためか、選挙で生協の影は薄い(138ページ参照)。
「組合員のため」の政治課題に取り組むべき
しかし、貧困・失業の増加、超高齢社会、農業の衰退、食料危機、地球過熱化など、「特定の政党のため」ではなく、「組合員のため」に取り組まなければならない政治課題は山積みだ。日本の協同組合の組合員数は6500万人、事業高16兆円、店舗・施設は3万5600カ所という一大勢力のはずだが、これらの問題を放置すれば、組合員の生活も崩壊し、協同組合の事業も持続できなくなる。
「国境を越えて資本と労働力を自由に動かそうとするグローバル資本にとって、生産者、労働者、消費者の利害を代弁する中間団体は邪魔者」(前出:國分功一郎氏)だからこそ、協同組合が政治の外にいて良いはずはない。
(注) 出所:「JAグループ 私のオピニオン」https://org.ja-group.jp/about/opinion/1908_1

(p.4-P.5 記事全文)

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