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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

「大事なことは市民が決める」─二つの住民投票から

 

生活クラブ生協・茨城 つくば支部組合員の有志により、2003年に発足した「つくば・市民ネットワーク(以下、つくばネット)」。これまでに8人の市議会議員を送り出し、市の政策全般に対し提案を行ってきた。つくばネットの発足メンバーで茨城ネットワーク運動連絡会 共同代表でもある永井悦子さんは、2004年の初当選から2期、8年間にわたり市議を務めた。これまでの活動のなかで深くかかわってきた、つくば市総合運動公園の賛否を問う住民投票(2015年)と、東海第二原発再稼働の賛否を問う県民投票(2020年)の経緯を取り上げつつ、代理人運動について語ってもらった。

 

保守大国・茨城で展開された二つの住民投票

 

2014年3月、つくば市議会は、総合運動公園の建設のため、66億円の用地購入を賛成14、反対13の1票差で決定した。しかし、市民の暮らしや教育、福祉などに関する課題が山積するなか、用地代を含む事業費が305億円にものぼる大規模施設は、果たして優先すべき事業なのか。多くの人が不安を抱くのは当然のことだった。住民投票に至る経緯を永井さんが説明する。
「総合運動公園の基本計画は、市議会の審議もなく策定され、用地購入はパブリックコメントの募集中に決定されてしまいました。パブコメでは、計画への反対または大幅な見直しを求める市民の声が過半数を大きく超えていましたが、当時の市長は、『一部の意見』と切り捨て、強引に基本計画を決定するなど、市民意見に聞く耳を持たない対応でした」
そこで、既存施設の拡充を望む市民(総合運動公園建設の是非を住民運動で問うつくば市民の会)が、2015年4月、法定必要数の3・5倍に及ぶ1万1363筆の署名とともに、総合運動公園基本計画の賛否を問う住民投票条例制定を請求。それまで要望書や請願活動を行ったことで、この問題は市民にかなり浸透しており、議会内では住民投票もやむなしとの判断が主流となって、住民投票条例は可決された。

(p.68-P.69 記事抜粋)

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