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市民セクター政策機構

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政治のあり方そのものを変える新しい議員像を求めて

学校給食自校化運動を始める


ふくおか市民政治ネットワーク(以下ふくおかネット)が設立されたのは1990年。現在までの約30年、多様な活動を続けてきたが、設立間もない1993年に始まった宗像市の学校給食自校化運動は、ふくおかネットを象徴する活動だと事務局長の林田公子さんは言う。
「私たちの代理人が、宗像市の予算書のなかから、学校給食の食器を変更する予算が組まれていることを見つけ出したことが発端でした。それまでアルマイト製だった食器をポリカーボネート製の食器に換えるというものでしたが、ビスフェノールAという、健康を害する恐れのある成分が含まれていることについて、保護者の間に強い不安が湧き上がりました」
結局、ふくおかネットがかかわった食器問題の請願は否決されたが、この運動をきっかけに市民の学校給食へ関心が高まっていった。宗像市ではちょうど学校給食センターの建て替えの時期にさしかかっており、自校で子どもたちの顔の見える関係の中で安全な給食を子どもたちに食べさせたいという運動へと発展していったという。
「保護者たちが中心になって『宗像市の学校給食を考える会』(以下、考える会)が立ち上がり、ふくおかネットはそれに連携する形で動いていきました」
当時はふくおかネットの母体となったグリーンコープ生協との関係もいまより強かったので、組合員もその活動には積極的に参加してくれたという。
「各小中学校に代表者を置き、そこで署名活動が始まりました。ふくおかネットでは隣町の代理人とも協力して自校方式とセンター方式での費用を比較して公表し、署名活動と連動しながら議会に自校式を提案する動きを進めました」
最終的に署名は9500筆にのぼり、考える会は自校式への転換を議会に陳情。ネットも議会に自校式給食の提案を行い、予算要望書も提出した。
「そんな時期に行われた市長選は、給食自校化問題が争点の一つになり、私たちの運動とは特にかかわりのなかった一人の候補者が、学校給食の自校化を公約に掲げて当選。事態が一気に動きました」
新市長の下で、議会に「給食を考える」特別委員会が設置され、1998年に小学校の自校化が決定、2003年までに全ての小学校が自校式に、また2010年には中学校も全て自校式になり、延べ13年にわたる運動が実を結んだ。

(p.76-P.77 記事抜粋)

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