もうひとつの市民政治②
自治体議員立憲ネットワーク
地方から政治を変える、社会運動的な議員集団をつくる
「地方自治の立場から、立憲主義と平和主義を発展させる」ために結成された地方議員のネットワークがある。2014年に発足した「自治体議員立憲ネットワーク」だ。超党派の自治体議員が横のつながりをつくり、直面する様々な問題に協力して解決していこうとする組織である。ネットワークをつくることで何ができるのか、どのような利点があるのかなどを、自治体議員立憲ネットワーク共同代表で静岡市会議員の松谷 清さんに聞いた。
安倍政権に対抗するため、
超党派ネットワークが必要だった
自治体議員立憲ネットワーク(以下、立憲ネットワーク)が発足した2014年は、前年に特定秘密保護法が制定、この年には集団的自衛権の行使容認が閣議決定されるなど、安倍政権の暴挙が続出した年だった。
日本の民主主義の危機にどう立ち向かうか。地方自治の立場から立憲主義と平和主義を取り戻すために活動しているのが立憲ネットワークだ。7人の共同代表は現在立憲民主党、国民民主党、社民党、東京・生活者ネットワーク、緑の党、無所属で政治活動をする人たちだ。そして、350人ほどの自治体議員が参加している。
「私は1987年に静岡市議(2003年より静岡県議)になりましたが、地方から政治を変えたい、自治体を軸にした政治をつくりたいと活動してきました。議員になる前は市民運動の専従をしていたこともあり、市民運動を理解し連帯しようとする超党派議員が自治体を超えて横につながることが、強い政権に対抗するには欠かせないと考えていたのです」と松谷さんは話す。
自治体議員のネットワークの必要性を感じていた松谷さんは、立憲ネットワークに先立つ1998年に「虹と緑の500人リスト運動」を開始。自治体議員と市民が合体し、ヨーロッパの緑の党を意識して地域から新しい政治勢力をつくることを目標としたのだった。
「500人リスト運動を経て、自治体議員と市民による政策部分で連携する『自治体議員政策情報センター』が設立され、年1回の全国政策研究会と年3回の国会議員事務所を窓口に自治体議員が直接、国の官僚に向かい合う政策研究会が続いています。こうした議員交流を母体に、原発事故の際には原発震災情報連絡センターが、また安倍政権に対抗する自治体議員の社会運動的な組織として立憲ネットワークが生まれました」
(p.84-P.86 記事抜粋)