生活クラブグループ
市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

選挙と若者、ノルウェーとアイスランドから
(鐙<あぶみ> 麻樹:ジャーナリスト・写真家)

季刊『社会運動』2022年1月発行【445号】特集:代理人運動と生活クラブ―民主主義を終わらせない

4年振りの国政選挙の時期がノルウェーにやってきた。2021年9月13日の投票日を前に、私は「選挙小屋」や高校を訪問して、政治と関わる若者を取材していた。
「選挙小屋」とは、各政党が同じ場所に集合し、スタンドを立てて市民と政治の議論をする空間だ。議論というよりも「おしゃべり」に近く、無料で飲食物や文房具も配布されているので、無料のカフェのようだ。市長や大臣、時には首相もふらりと立ち寄れば、小中高の子どもが社会科の課題で政党に質問をしに訪れるので、有権者かは関係なく、だれもが政治を語ることができる。

ホーヴェセーテル中学校の15歳の学生は授業の一環で政党に質問をしていた。
カミーレさん「学校政策や税金というテーマは先生が決めて、質問は自分たちで作りました。投票できる18歳までに、こうして勉強する機会があるのは助かります」
レオンさん「政治家によって話していて楽しい人もいれば、言葉が難しい人もいます」
「自分たちは国のリーダーで、若者の投票率が低いという課題があるとします。あなただったらどう対策をしますか?」と聞いてみた。
レオンさん「政党の青年部に入会して、若者に対してメディアを使いながら、どうして投票したほうがいいのかを語りますね」
カミーレさん「政治家は若者と距離を縮めたいならSNSを使ったほうがいい。私はあまり新聞を読まないから、情報はSNSで広めてほしいです」
質問ノートを見せてもらうと、例えば「自由党」には中絶や薬物緩和政策を特に聞きたかったようだ(この国では若者にとって大事な争点のひとつ)。党の回答がノートには書き込まれており、生徒たちは後で教室で討論をする。

保守党のスタンドにはヤン・トーレ・サンネル財務大臣が突然と現れた。大臣は子どもの質問にも丁寧に時間をかけていた。
「子どもの声を聞くだけではなく、答えることも重要です。将来を発展させ責任を担う世代ですから。共に政治の議論をすることで、子どもにも責任意識が目覚めます。いつか政治家になる子もいるでしょうし」と大臣は取材で答える。SNSや既存メディアを通しての政治家とのコミュニケーション以上に、対面での対話の機会を設けることも、北欧の投票率の高さに影響しているのではないだろうか。

(p.150-P.152 記事抜粋)

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