書評①
『みんなでつくる「いただきます」』田村典江、クリストフ・D・D・ルプレヒト、スティーブン・R・マックグリービー 編(昭和堂 2021)
食卓には、地球環境などの課題がいくつも置かれている
福祉クラブ生協 福光早苗
この本のタイトル『みんなでつくる「いただきます」』からくるイメージと違い、私たちの最も身近で大切にしている「食」が環境や社会問題と大きく関係していることを思い知らされる内容であった。
以前テレビで見た「地球の自然環境は未来の子供たちに残すのではなく、未来の子供たちから借りたもので、そのままの形で返さないといけない」という一文が思い出された。私たちは未来の子供たちに自然環境をどのような形で返すのだろうか、汚さず壊さず返すことはできない現状を、どうすればよいのかを考えさせられる。
本書は、総合地球環境学研究所の研究プロジェクト「持続可能な食の消費と生産を実現するライフワールドの構築―食農体系の転換に向けて」の研究結果をまとめたものである。このプロジェクトは、2016年から5年間の研究期間を費やした。しかし、執筆者たちは持続可能な新しい食農体系の転換という目標はこの5年間だけで到達するのではなく、まだ終わらない研究であると考えているようだ。
(P.31 記事抜粋)