北海道からの挑戦、自然エネルギー社会への転換(北海道グリーンファンド理事長 鈴木 亨)
1999年、「電気を共同購入したい」と、日本で最初の「グリーン電気料金制度」なる独自のシステムを始めた。その後、電気も自分たちでつくろうと、これも日本初となる市民出資による第1号の風力発電所(市民風車)「はまかぜ」ちゃんが稼働を始めたのが2001年だ。当時は市民ファンドで風車建設など出資詐欺と間違われてもおかしくない取り組みだったが、現在、運営と運転・保守管理に携わる風車事業は18基、3万kW弱にまで広がった。市民出資は累計で約25億円、人数も延べ4000人を超えている。2012年に生活クラブ風車「夢風」、2014年には北海道の石狩・厚田区での風車建設と、生活クラブとの共同事業も実現している。
ここからどこへ向かうか。電力自由化、とりわけ発送電分離を前に考えてみたい。キーワードは当事者人口、地方分権、地域の自立経済だ。
(記事から抜粋 P112)
北海道「民」電力へ
北海道の膨大なエネルギー資源を生かすための課題の一つが送電線問題である。筆者は北海道電力を日本の最先端の電力会社にしたいと考えている。電力自由化と発送電分離を目前に控え、これまでの地域独占の閉鎖的な経営から、道民の声を反映した電力会社にならなければならない。北海道電力は東電や関電に比べると小さい会社で、時価総額で2000億円程度である。株主構成は個人3割、金融関係3割、筆頭株主は金融ファンドで7・5%だ。つまり8%(160億円程度)持てば、市民ファンドでも筆頭株主になれる。現在、北海道や札幌市などの自治体は北海道電力の株式を持っていないが、今後は保有して、市民ファンドと合わせて一定割合の株主比率となれば、より道民の意思が反映する北海道電力になることができるはずだ。
光、風、水、森があり資源が豊富な北海道で、なぜわざわざ石炭や油で発電するのか。震災があった2011年には電気を東北に送り、上半期の決算は売上が前年比113%増であった。しかし化石燃料で電気をまかなったため燃料代がかさみ、営業利益は赤字なのだ。燃料代のかからない自然エネルギーを有効に利用し、道民の利益になるような電力会社にしようということである。対立ではなく、一緒に、道民のための電力会社としての北海道電力を、いかに成長させていくかを考えていく中に、送配電網の課題の解決も見いだせるはずである。北海道「民」電力のなかに、北海道の自立と日本の自然エネルギー社会の姿が見えてくると考えている。
(記事から抜粋 P116)