生活クラブグループ
市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

「ワクワクする再エネ社会」へ
(市民セクター政策機構 理事長 柳下信宏)

【発売中!】季刊『社会運動』2024年4月発行【454号】特集:ワクワクする再エネ社会 脱原発の世界を歩く

 

恐ろしい世界、先の見えない社会


 「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と言われるように、2023年の夏は過去最高の気温でした。本来であれば、化石燃料や原発をやめて、再エネや省エネをすすめるべきなのに、日本は原発に固執し、福島第一原発の処理汚染水の海洋放出がはじまっています。加えて、能登地震では志賀原発の外部電源が喪失、道路は寸断され避難もままならない状況が続いており、地震国における原発の危険性が改めて突きつけられています。


 ウクライナの戦争に続いて、ガザではジェノサイドが始まり、悲惨なニュースを前に途方に暮れるしかありません。コロナが5類になっても社会は明るくならず、エネルギーや食料の高騰が生産現場や消費者を苦しめています。3年に1度の介護保険改定では訪問看護の報酬は切り下げられ、ケア人材不足への対策など、制度の持続可能性に向けた有効な対策は示されず、介護保険制度は崩壊寸前です。

 

自分たちの社会をつくる「道具としての再エネ」

 

 本号特集の基調となった、私も参加した「再生可能エネルギー政策と地域社会づくり ドイツ・デンマーク視察ツアー2023」では、たくさんの希望のタネを見つけることができました。
 原発を導入しないことを選択したデンマーク、脱原発を実現したドイツ、それぞれの脱原発の世界を歩くなかで、「ワクワクする再エネ社会」を参加者が感じとってきました。
 視察を通して確認したのは、再エネ、それ自体が目的なのではなく、私たちが望む社会のあり方、私たちの望む生き方を実現するための、「道具としての再エネ」ということでした。社会のあり方を人の手に委ねず、自分たちで自分たちの社会をつくっていく取り組みとして、本誌における各事例の紹介や論考をお読みいただきたいと思います。これをきっかけに、知り合いとエネルギー問題の話をするのもいいかもしれません。


 まずは人と会って、おしゃべりをすることから、私たちもワクワクする社会をつくりましょう。

(P.4-5記事全文)

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