②わかって食べることを広めたい
(生活クラブ連合消費委員会 前委員長 萩原つなよさん)
消費材が生産と消費をつないでいる
組合員が生活クラブの共同購入の課題を議論する消費委員会では、持続可能な生産と消費について、常に話し合っています。産地では高齢化で生産を止める人が増え、資材や燃料も高騰する中で、生産者はギリギリの状態で頑張っていると感じています。特に価格はリアルな問題で、生活クラブは生産者が再生産可能な価格で取り組むことを基本にしているので、値上げをせざるをえないのですが、価格が上がると組合員の利用は落ちてしまいます。そこを落とさないようにするにはどうすればいいかを、生産者と組合員が一緒に考える必要があると思います。
生産現場がギリギリの状態ということは、ある日突然、それまで食べていたものがなくなってしまうこともあるわけです。少し前にもそんな経験をしました。製造していた長野森林組合鬼無里事業所が事業的に厳しくなったことがきっかけで、鬼無里の「えのき茸茶漬」(長野県産味付えのき茸)がなくなると聞いたとき、私は「しまった!」と思いました。農産物の生産については頭にありましたが、もっと広く林業の現場について学ぶことも大事だったのです。「えのき茸茶漬」は幸い、生活クラブの組合員や長野県の生産者たちが奔走し、生産し続けることになりました(108ページ)。
例えば豚肉は生活クラブの人気消費材(生活クラブで取り扱う生活材を消費材という。豚肉については38ページ)で、「豚肉が美味しいから」と加入する人もすごく多いのです。そこには生活クラブと生産者が試行錯誤を重ねて、豚の交配、餌の選び方、育て方を議論して一緒に作ってきた歴史があります。生産者の㈱平田牧場は「これは生活クラブの豚肉、組合員の豚肉なんですよ」といつも言ってくれます。ただ「美味しいから」「安全だから」ということではなく、生産者と話し合って作ってきた自分たちの消費材なのだから、責任を持って食べ続けることをもっと伝えていかないと。値段は再生産を保証する価格にしているので安くはないけれど、国産にこだわった本当に安全なもの、自分たちの生活に必要なものを、子どもたちやその先の世代まで食べ続けてほしいから、生産者だけでなく組合員もここは踏ん張りどころなのです。
(P.13-P.14 記事抜粋)