生活クラブグループ
市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

③生活クラブが実践する対等互恵(生活クラブ連合会 専務理事 柳下信宏)

【発売中】季刊『社会運動』2024年7月発行【455号】特集:飢える社会が来た ー生産者と消費者の対等互恵で生きのびる

対等互恵の関係がつくった消費材


 生活クラブ生協が取り扱う生活材は、売って儲けることを目的とした「商品」ではなく、生活者が消費するためのものであるという意味を込めて「消費材」ということばを使っています。消費材の原材料や製造方法を明らかにし、不要な食品添加物を減らし、環境負荷を削減するためビンを再使用するなどの取り組みも行っています。
 消費材とは、市販の商品の中から、より良い商品を選んでいるのではなく、組合員(消費者)のパートナーとしての生産者と協同で開発しています。資本主義社会において、消費者と生産者は分断され、利害が対立することさえあります。しかし生活クラブの共同購入運動では、生産者と生活クラブは対等互恵の関係です。お互いを理解し合い理念を共有することをめざし、生産者が再生産可能な価格や数量について、真剣な話し合いを行っています。

資本主義を批判しながら、
資本主義社会を生きる


 一般市場の商品を批判し、消費材を利用することは、金儲けが最優先の資本主義社会に対する批判です。しかし、資本主義を批判しながらも、資本主義の激しい競争のなかで生きていかなければなりません。食の安全や環境負荷の削減といった理念だけで組合員が消費材に利用を結集することはありません。パートナーである生産者も、消費材だけを生産しているのではなく、市販の商品も生産していますし、エネルギーや資材の高騰、人手不足などの影響を受けます。生活クラブも、他の小売業者とも競合しながら、持続可能な事業をつくらなければならず、様々な葛藤を抱えています。
 事業体としての生活クラブができることは、組合員の人数と利用金額に応じて決まります。ですから、消費材政策をはじめ、事業全般に関して、妥協せざるをえないこともあります。運動と事業を進めるためには、組合員拡大と利用を増やす必要があるのですが、これは簡単なことではありません。

(P.16-P.17記事抜粋)

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