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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

⑥移住体験<br>TOCHiTO(とちと)産地で暮らし、組合員と生産者の架け橋に(TOCHiTO住人 宮田あい子さん)

【新刊】季刊『社会運動』2024年7月発行【455号】特集:飢える社会が来た ー生産者と消費者の対等互恵で生きのびる

―庄内への移住のきっかけは。

 ここに来るまでは、横浜みなみ生活クラブ生協の理事活動やワーカーズ・コレクティブの仕事、家のことなど、時間をやりくりして頑張っていました。そんな暮らしに「生き急いでる感」を覚えていたんです。元々新潟県出身なので、田舎に行ってのんびりしたいなぁと思っていた時に、生活クラブの「産地で暮らす」のチラシを目にしました。紹介されていた「酒田で暮らすを検討する会」は、移住に関心のある組合員も参加し、コミュニティの拠点となる「TOCHiTO」を作り上げていくというプロジェクトでした。これなら、いきなり知らない土地に一人で行くよりハードルが低いように思いました。それに、生活クラブの消費材の共同購入もできますしね(笑)。とは言え、息子の進学など家族のことは悩み、現地を一緒に見たりして、話し合いをしました。とりあえず私だけ行ってのんびりしようと、昨年5月に移住しました。

―TOCHiTOの暮らしはいかがですか。

 人生初の一人暮らしを楽しんでいます。プロジェクトの時からTOCHiTOの有償スタッフとして携わっていますが、それだけでは生計が立てられないので、最初の1年間は平田牧場のパートと週1回「生活クラブ庄内親生会」の配達もしていました。結果、日曜日しか休みがなく、めちゃ忙しい日々です。それでも、時間がゆっくり流れて、1日24時間がちゃんとあります。配達に出かける時に見る田んぼや山が週ごとに色を変え、季節の移り替わりを実感しています。そして、食べ物もおいしくて、来てよかったと思っています。ですが、横浜の時より時給が500円ほど低いことや、移動手段が車になるのでガソリン代は嵩むなど地方ならではの厳しさもあります。パワフルな組合員が多い「TOCHiTO」は長屋のようなつながりがありつつ、お互いのライフスタイルを尊重するコミュニティです。

(P.54-P.55記事抜粋)

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