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市民セクター政策機構

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協同組合は資本主義市場経済の代案を示す


聖公会大学社会的経済大学院教授
金 昌珍


 私たちは21世紀に至っても、依然として巨大資本と軍事力というハードパワーが支配する古い世界に生きている。数多くの戦争と殺戮、破壊を経験した19世紀と20世紀を経ても、人類の理性を通じた文明化の水準は進歩したのか、根本的な疑問を投げかけざるをえない。

 国連は2012年に続き、2025年を再び「協同組合の年」に指定した。もちろん、私たち協同組合運動従事者の力だけでは、このような華やかだが貧しく、洗練されたように見えるが反動的な世界を変えることはできない。それにもかかわらず、私たちは、異なる地域や分野で尊厳ある人間の存在や、人間と自然の調和のとれた相互関係を実現するために力を注ぐ多くの人びとの協同と連帯に一縷の望みを抱きながら、一歩一歩前進するしかない。

 協同組合運動は、根本的に現実世界の欠乏を補完しながらも、支配的な秩序とは異なる何かを志向する代案なのだという意味を、提示しなければならないだろう。過去1世紀以上、韓国と日本で協同組合運動に真摯に取り組んだ人びとは、大なり小なりまさにそのような軌跡を描いてきた先駆者であるといえる。協同組合分野における韓日交流もまた、そのような歴史の中でお互いに有益な方向に展開されてきた。

 筆者は、韓国協同組合運動100年の歴史を、国家主導の近代化に対応した、自主的近代化と協同組合経済システムの模索という観点から整理してみた。実際、その成果が韓国の社会経済システムに大きな衝撃を与えるほど素晴らしいものだったとはいえないだろう。しかし、「国家主導の資本主義市場経済」が唯一可能な世界であるかのように錯覚して生きている大多数に、既存のシステムの問題点と矛盾を暴露し、別の代案を例示し、実現可能な未来を想像できる材料を提供した意味は十分だといえるだろう。

 このような観点から、両国の協同組合運動の国際的な連帯は、狭小な権力と資本の利害関係を超えて人類の共通の課題を解決することに貢献する、市民社会のささやかだが偉大な同行となるだろう。

(P.22 記事全文)


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