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市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

高齢社会を迎えた韓国での医療協同組合のアイデンティティ


治癒空間心の森社会的協同組合センター長
朴 鳳熙


 韓国社会も2018年、高齢社会に突入しました。子育てや自分の老後の準備まで、三重の責任を負わなければならないベビーブーマー(1955~63年生まれ)が老年を迎えました。ちょうど2024年2月に「医療・療養等地域ケア統合支援に関する法律(ケア統合支援法)」が制定されました。最初期の医療協同組合の実験と地域現場での実践があるからこそ、こうした法律が制定できたことを、改めて確認したいところです(2024年現在、韓国医療福祉社会的協同組合連合会に所属する組合は30、115事業所、組合員6万6000人余)。

 2024年の長期療養在宅医療モデル事業に参加した全国83カ所の医療機関のうち、20が医療協同組合です。国民健康保険公団による医療協同組合の設立支援や、地域を基盤とする一次医療を中心とした多職種統合モデルの構築など、いまや政府の政策パートナーとして認められるまでに成長しました。

 韓国の医療協同組合運動は、1994年、農民会と医療関係者が中心となって最初の農民医院を開院し、保健医療の代案として出発しました。そして2024年には30周年を迎えました。

 『韓国協同組合運動100年史』に所収した論文「医療協同組合の過去と現在」では、韓国社会で医療協同組合が出発した背景と歴史的起源、そして高齢社会への準備とその実践の特性を主に取り上げました。さらに、制度変化に伴う医療協同組合のアイデンティティに関する研究活動の紹介と、疾病中心のパラダイムから脱却して、健康の視点を新たに定義した過程を扱っています。

 市民セクター政策機構が企画した『韓国協同組合運動100年史』日本語版の電子出版を祝い、季刊『社会運動』の紙面を借りて、この文章を読む皆さんと医療生協関係者に感謝の意を表します。
(P.24 記事全文)


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