生活クラブグループ
市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

相互に影響を与えあうことを願って


檀国大学HK研究教授
キム・イギョン


 こんにちは。韓国で東アジアにおける協同組合運動の歴史を研究しているキム・イギョンと申します。日本で『韓国協同組合運動100年史』の紹介に努めてくださった市民セクター政策機構の関係者の方々に深く感謝申し上げます。この本が媒介となって、韓国と日本の協同組合の参加者および研究者が活発に交流できることを期待します。

 私は、日帝強占期(日本帝国主義による植民地支配期)から解放後の産業期、民主化期に至る100年の時間のなかで、韓国の協同組合運動参加者がヨーロッパで派生した馴染みのない概念である協同組合をどのように理解し、韓国式に変容したのかを研究しました。また解放後、国際社会の財政的、人的、教育的な支援を通じて成長した協同組合に注目し、「韓国協同組合の国際交流と連帯の活動」を執筆しました。

 韓国の協同組合は100年余りにわたって外国の協同組合モデルを受容、模倣、変容する過程を経て、現在も進行中です。日帝強占期には植民地支配下にあって自主的な経済を模索し、イギリスとデンマークの協同組合モデルを受け入れて韓国式に変容しました。解放後は、カナダのアンティゴニッシュ運動とイスラエルの協同組合、日本の生協や米国の信用協同組合など、多様なモデルを受容し、民間の韓国協同組合運動を推進しました。また、朝鮮戦争を経て農村と都市の貧困問題や反独裁闘争などの激変期においては、カトリックの社会参加やドイツ、オランダなどの各国際支援機関によるサポートが、韓国協同組合運動の全国的な拡大に大きく寄与しました。現在、韓国の協同組合は、国際援助を受ける立場から積極的にそれを進める主体へと役割を転換し、フェアトレードなど国際社会との連帯だけでなく、社会的連帯経済へと拡大しています。

 韓国協同組合の国際連帯の軌跡をたどることは、植民地支配と分断、産業化の時期における試練と抵抗の歴史を含め、協力と連帯を確かめる機会を提供します。特に韓国と日本の協同組合運動参加者たちは、1980年前後から現在まで縁を結んでいます。協同組合運動の国際連帯が継続的に記録され、今後も影響を与えあえることを願っています。
(P.26 記事全文)


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