●日本語翻訳版の刊行によせて
①一般社団法人 日本協同組合連携機構常務理事 伊藤治郎
【新刊】季刊『社会運動』2024年10月発行【456号】特集:社会的経済に向かう韓国市民運動 ー『韓国協同組合運動100年史』翻訳出版記念
日韓協同運動の発展に向けた韓国の「協同組合基本法」や「社会的協同組合」の研究意義
一般社団法人 日本協同組合連携機構 常務理事
伊藤治郎
日本協同組合連携機構(JCA)は、協同組合の健全な発展と持続可能な地域のよりよいくらし・仕事づくりを目的に、協同組合を横断したわが国唯一の常設の法人組織として、2018年4月に発足した新しい組織です。JCAは各協同組合の全国組織と同様に国際協同組合同盟(ICA)に加盟し、韓国をはじめとした海外の協同組合とも交流しています。
JCAの前身は「JC総研」という協同組合に関する研究機関で、現在も研究部門を擁しており、『にじ』という研究誌を発行しています。そのなかにも、韓国の協同組合に関する論考を多数掲載しています。
JCAでは2021年8月から2024年1月にかけて、「協同組合法制度研究会」を設置し、多くが制定後80年近い年月が経っている協同組合法制度の課題について研究、横断的な「協同組合基本法」の是非について検討してきました。その中で、韓国において2011年末に制定された協同組合基本法とその後の情勢変化から多くを学ばせていただきました。また、社会的協同組合の取り組みをはじめとする協同組合による社会的役割の発揮も、日本の協同組合にとって大いに参考になるところです。
JCAが事務局を務めている日本協同組合学会でも日韓の協同組合研究者の交流が深まっています。これまで両国で開催される大会で挨拶をするといった関係でしたが、昨年秋の明治大学での第43期秋季大会には韓国の研究者が多数参加し、特別セッションも行われました。
このように両国の関係が緊密になる中、韓国の協同組合の歴史についての文献が日本語で発行されたことは大変意義深いものです。多くの日本の協同組合関係者の皆様に読まれることを期待しています。
(P.28ーP.30 記事全文)