生活クラブグループ
市民セクター政策機構

市民セクター政策機構 市民セクター政策機構は、生活クラブグループのシンクタンクとして、市民を主体とする社会システムづくりに寄与します。

激動する新たな環境のもと日韓両国そして世界の農協・協同組合運動の発展を


一般社団法人 全国農業協同組合中央会(JA全中) 協同組合連携リーダー
一箭拓朗


 日本と韓国は、①農業生産にかかる自然条件、②小規模家族経営が大宗を占めること、③農業協同組合について「総合事業」モデルが発展してきたこと、④地域の総合農協に対し、中央会等が組織・事業・経営面で専門的な支援を行う組織構造など、多くの共通点があります。さらに、農産物貿易の自由化、政府統制や規制の緩和のもとで、農業政策、農協法制度の見直しなど共有の課題について、長年にわたり連携してきた歴史があります。

 例えば、2003年~04年にかけ、韓国の全農協(約1300)の組合長が日本の農協・全中を訪問し、日本の中央会・連合会と単協の組織・事業方式や、農協合併について研修を行う「韓国農協組合長研修」が実施されましたが、『韓国協同組合運動100年史』でも記述されているように、当時、韓国政府による農協中央会の信用・経済事業分離の動きが強まる中で、日本の経験を参考にしたいとの目的があったと承知しています。また、韓国農協中央会は1978年より東京に日本事務所を設置するなど、約40年にわたり両国農協は様々な場面で連携してきました。2017~23年の7年間は一時撤退したものの、2024年1月より事務所を再開、現在に至っています。

 国際的な協同組合運動のなかで、「日本の総合農協モデル」は高く評価されており、日本を参考に成功した事例は韓国やタイが挙げられますが、アジア途上国を中心に、日本型モデルによる農業者の組織化をめざす国々もあります。激動する新たな環境のもと、両国そして世界の農協・協同組合運動がますます発展することを期待しています。
(P.32-P.33 記事全文)

インターネット購入