④韓国の社会的経済組織レポート 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会・センター事業団直轄 事業所所長 友岡有希
【新刊】季刊『社会運動』2024年10月発行【456号】特集:社会的経済に向かう韓国市民運動 ー『韓国協同組合運動100年史』翻訳出版記念
韓国の「労働者協同組合」
韓国には、従来からの法律に基づく農協、漁協、生協、森林組合のような協同組合と、2012年に制定された協同組合基本法に基づく協同組合の二種類があります。新たな協同組合基本法が制定されたことにより、誰でも事業の分野に関係なく協同組合を設立できるようになりました。年間10パーセント以上の増加率で、この10年ほどの間に2万5千ほどの協同組合が設立され、地域で活動したい、地域課題の解決をしたいという思いを持った人たちが協同組合を設立・運営しています。10万人以上の人が協同組合の関係者として働いている状況です。
協同組合基本法には社会的協同組合と一般協同組合との二つのカテゴリーがあり、非営利性の高い社会的協同組合は認可制で設立され、営利団体は一般協同組合を申告制で設立する形になっています。韓国でも、労働者協同組合を推進する人たちは、地域で市民活動をしながら、雇用を創出し、自分たちの働く場所を自分たちでつくりたいと願って活動をしてきました。ただし、労働者協同組合についてはなかなか理解されず、使用者と労働者という区別なく全員が同じ立場で公平に働く職員であるという位置づけから働く人たちの協同組合としてカテゴリー化されています。
それでも2014年には労働者協同組合連合会(労協連)が設立されました。設立から10年以上の間に、労協連が協同組合の設立や運営を支援したこともあり、20団体以上が新設され、翻訳・通訳、高齢者・家事代行サービス、バス運行、代行運転、出版などの幅広い業種に広がっています。
労働者協同組合として活動したいという思いを持ったリーダーがいて、自分たちの事業に働く人がきちんと参画し、自分たちの権利を自分たちで守れるようにしています。そして地域の人が幸せに暮らせるサービスを提供できるように考えながら運営しているのが特徴です。
(P.68 記事抜粋)