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②非営利と経済活動を融合する新たな法人格 社会的協同組合 株式会社異路(IRO, inc.) 代表取締役 上前万由子

【新刊】季刊『社会運動』2024年10月発行【456号】特集:社会的経済に向かう韓国市民運動 ー『韓国協同組合運動100年史』翻訳出版記念

社会的協同組合とは


 スーパーマーケットや飲食店が「非営利」で運営されている─そんな光景を想像できるだろうか。2012年に韓国で導入された比較的新しい法人格「社会的協同組合」は、非営利性と経済活動を融合させた革新的な組織形態として注目を集めてきた。社会的協同組合とは一体何なのか、そしてなぜ韓国でこのような組織が必要とされるようになったのだろうか。


社会的協同組合の定義


 2012年に施行された「協同組合基本法」第2条では、社会的協同組合を次のように定義している。
 『「社会的協同組合」とは、協同組合のうち地域住民の権益・福利増進に関連する事業を遂行したり、社会的弱者層に社会サービス又は雇用を提供するなど営利を目的としない協同組合をいう』


一般的な協同組合との違い


 一般的な協同組合と社会的協同組合は、多くの点で共通点もあるが、異なる点もある。一般的な協同組合が「組合員の共同の利益」を追求するのに対し、社会的協同組合は「社会が必要とする公共の利益」を追求する。また、一般的な協同組合の設立は申告制であるのに対し、社会的協同組合は各事業分野ごとの管轄国家機関の認可が必要だ。
 さらに重要な違いは、事業内容に関する要件だ。「協同組合基本法」第93条によると、社会的協同組合は全事業の40パーセント以上において以下のいずれかの事業を主事業として行わなければならない。

1 地域社会の再生、地域経済の活性化、地域住民の権利・福利増進及びその他地域社会が当面の問題解決に寄与する事業
2 社会的弱者層に福祉・医療・環境等の分野で社会サービス又は雇用を提供する事業
3 国・地方自治団体から委託された事業
4 その他公益増進に資する事業

 また、社会的協同組合は非営利法人格を持ち、配当が禁止され、行政機関の監督下に置かれる。剰余金の積立率も30パーセント以上と高く、清算時には残余財産を公益目的に帰属させる義務がある。一方で、その公益的性質から税制面での優遇措置を受けられる。さらに、指定寄付金団体認定が可能であるため、寄付者への税制優遇を通じて資金調達が容易になる。これらの特徴は、社会的協同組合の持続可能性を高め、社会的使命をより効果的に果たすことを支援する重要な制度的仕組みとなっている。

(P.56-P.58 記事抜粋)

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