「そうだ!六番目」民間の手で開催した韓国社会的経済博覧会
崔珉竟(京畿道議会政策支援官)
【まもなく発売】季刊『社会運動』2025年1月発行【457号】特集:いまこそ、協同組合の出番 2025年は国際協同組合年
韓国の社会的経済は経済的価値だけでなく社会的価値を追求する経済活動であり、社会的企業と協同組合、マウル企業など多様な形態で構成されている。韓国の社会的経済はこれまで持続可能で包容的な経済システムを構築してきたし、社会的弱者層の雇用創出と地域社会の問題解決に寄与してきた。しかし最近、政府の社会的経済予算の削減と社会的経済博覧会予算の全額削除を決定したことなどは、このようなシステムに深刻な影響をおよぼした。尹錫悦政府は、社会的経済組織が「補助金に依存」していると判断したようだ。そのため、政策を完全になくそうという勢いだ。協同組合+マウル企業+社会的企業関連部署の予算では、2023年1906億ウォンだったが、24年849億ウォンだった。25年度予算案には315億ウォンだけ計上した。社会的経済政策の縮小は、地域社会での事業と活動を萎縮させた。現場に基づいた中間支援組織も廃業している。縮小(少子高齢)社会で政策という「呼び水」がなければ革新的な活動を続けることは容易ではない。
政策縮小に対して社会的経済の必要性を討論
社会的経済連帯会議は「社会的経済政策モニタリング結果」を発表した。そして社会的経済活性化および生態系強化方案を模索しようと「2024社会的経済政策討論会」が、2024年10月8日に国会議員会館で開かれた。
社会的経済政策のモニタリングは、尹政府発足後、社会的経済関連政策と予算が急減したことが社会的経済の現場にどのような影響を及ぼしたのかを調べるため、企画財政部、雇用労働部、保健福祉部、行政安全部、農林畜産食品部など5つの省庁を対象に2024年3月から行われた。尹政府の政策が引き起こしたことは、
- 政府の予算削減によって社会的経済企業では雇用調整、地方政府の社会的経済予算削減および職制の改編
- 社会的経済支援体系の変化による社会的経済関連条例廃止、(社会的経済課からESG課、持続可能経済課などに変えるなど)関連機関名称変更、実務者離脱、教育および相談業務が縮小
- 2023年の協同組合設立率は21年比で29・1%減少、社会的企業の認証は同64・8%減少
社会的経済基本法の制定と社会的経済政策および予算縮小に対しては国政監査を通じて問題提起を行うことと、2025年の社会的経済予算は23年水準に回復することが必要だ。
政府予算の削減で第6回社会的経済博覧会の中止
2024年、政府は社会的経済予算から社会的経済博覧会予算を全額削除し、第6回大韓民国社会的経済博覧会の中止が決まった。これは社会的経済主体に大きな衝撃を与えた。
ところで、2019年に始まった大韓民国社会的経済博覧会は、従来、社会的経済関連企業が互いに協力し発展できる重要な場だった。毎年社会的企業、協同組合、マウル企業など多様な社会的経済にかかわる人びとが集まって新しい商品を披露し、討論会を通じて一年間の成果を共有する場だった。この間、社会的経済生態系の発展を導いてきたが、6回目の今回は政府の無責任な予算廃止によって、博覧会の持続可能性と社会的経済生態系の問題が明らかになった。そうしたなか、民間の自発的参加と協力を通じて博覧会のような重要な行事を続けなければならない、という声が大きくなった。
社会的経済人の力で作った博覧会の意味と成果
韓国社会的経済連帯会議は、2024年11月5日に第6回博覧会を国会議員会館で開催することを決めた。そして、社会的経済の主体が自ら力を集めて開催費用を募金で賄うこと、プログラムもいままで行政の干渉で実施できなかった主題を取り上げるなど、現場の願いが反映された企画とし、政府政策の後退があっても博覧会を続け、社会的経済の重要性を社会に知らせることを示した。この博覧会は単に祭りの場にとどまらず、社会的経済の未来を議論し、民間と政府が共に協力できる方法を模索する重要な機会として位置づけられた。
「そうだ!6番目」テーマと成果
第6回社会的経済博覧会では「そうだ!六番目」がテーマとなった。そして6つ開催された学術フォーラムのテーマは、次のとおりである。
- 新しい想像、気候×地域循環経済×市民社会そして社会連帯経済
- 不合理な協同組合税制 迅速整備のための政策懇談会
- 社会的経済と政治 どう出会うか?
- 人口危機の時代、社会的経済が描く地域の未来
- 地域の社会経済活力創出方案の模索
- 社会的経済統計、スタートが重要だ
韓国の社会的経済の未来に対する期待と役割
社会的経済は経済的価値の創出を越え、人中心の社会を具現するための重要な手段として位置づけられている。今後、社会的経済は、気候危機、高齢化、地域消滅など多様な社会的問題に対応する重要な役割を果たすだろう。政府が予算を削減し、政策を縮小する状況でも、民間の自発的な参加は社会的経済の持続可能性を保障する重要な鍵になるだろう。社会的経済の主体が協力し連帯する力で新しい社会的経済生態系を構築し、これを通じて人中心の社会づくりに寄与できるだろう。資本主義社会の矛盾が隠されている現況では、人間らしい人生を送ることはあまりにも難しい。だからこそ、社会的経済は国を越えて互いに手を取り合い、両極化(格差)と社会的排除に対抗する戦線をさらに厚くしなければならない。
韓国の社会的経済は政府の支援頼みを乗り越え、民間の自発的な参加と協力で持続可能な発展を追求すべきだ。第6回社会的経済博覧会のような行事は社会的経済の重要性を広く知らせ、これを通じて社会的価値と経済的価値を同時に追求する方案を模索する重要な機会だった。民間の力が集まって社会的経済の生態系を発展させることは、もはや選択ではなく必須の課題になった。
(P.170-P.173 記事全文)